第二次納税義務の納付告知を受けた者は、本来の納税義務者の納税義務を確定した課税処分等が不存在又は無効でないかぎり、右納付告知の取消訴訟において、本来の納税義務者の納税義務の存否又は数額を争うことはできない。
第二次納税義務の納付告知の取消訴訟において本来の納税義務者の納税義務を争うことの可否
国税徴収法32条,地方税法11条
判旨
第二次納税義務者は、納付告知の取消訴訟において、主たる課税処分等が不存在又は無効でない限り、確定した主たる納税義務の存否や数額を争うことはできない。
問題の所在(論点)
第二次納税義務の納付告知の取消訴訟において、第二次納税義務者は、主たる課税処分等によって確定した主たる納税義務の存否又は数額を争うことができるか。
規範
第二次納税義務の納付告知は、主たる課税処分等により確定した主たる納税義務の徴収手続上の一処分としての性格を有する。したがって、主たる課税処分等が不存在又は無効でない限り、主たる納税義務の確定手続における所得誤認等の瑕疵は、第二次納税義務の納付告知の効力に影響を及ぼさない。
重要事実
上告人は、第二次納税義務の納付告知を受けた。上告人は当該納付告知の取消訴訟において、主たる納税義務者に対する課税処分(主たる納税義務)に所得誤認等の瑕疵があり、その存否や数額に問題があると主張して争った。原審は、第二次納税義務者は主たる納税義務の存否等を争うことはできないと判断したため、上告人がこれを不服として上告した。
事件番号: 昭和51(行ツ)37 / 裁判年月日: 昭和51年10月8日 / 結論: 棄却
国税徴収法三九条にいう「受けた利益の限度」の算定にあたつては、当該受益財産の取得により課される道府県民税及び市町村民税の額は、これを右受益財産の価額から控除すべきものではない。
あてはめ
第二次納税義務は、主たる納税義務が確定したことを前提に、徴収の確保を図るため補充的に課される義務である。その実質は、第三者を本来の納税義務者に準ずるものとみて履行責任を負わせるものであり、主たる納税義務の徴収手続上の一処分といえる。本件において、主たる課税処分が不存在又は無効であるとの事情は認められない。そうであれば、主たる納税義務の確定手続に所得誤認等の瑕疵(取消事由にすぎない瑕疵)があったとしても、それは独立した処分である納付告知の効力には承継されない。ゆえに、上告人は納付告知の取消訴訟で主たる納税義務の存否等を争うことはできない。
結論
第二次納税義務者は、主たる課税処分等が不存在又は無効でない限り、納付告知の取消訴訟において主たる納税義務の存否又は数額を争うことはできない。
実務上の射程
違法性の承継の問題として整理される。主たる納税義務の確定手続と第二次納税義務の納付告知は別個の行政処分であるところ、先行処分の瑕疵が後行処分に承継されるかという文脈で、判例は原則としてこれを否定する立場を明確にしている。答案上は、制度の補充的・徴収手続的性格から結論を導く。
事件番号: 平成26(行ヒ)71 / 裁判年月日: 平成27年11月6日 / 結論: 棄却
地方税法11条の8にいう「滞納者の地方団体の徴収金につき滞納処分をしてもなおその徴収すべき額に不足すると認められる場合」とは,第二次納税義務に係る納付告知時の現況において,本来の納税義務者の財産で滞納処分(交付要求及び参加差押えを含む。)により徴収することのできるものの価額が,同人に対する地方団体の徴収金の総額に満たな…
事件番号: 平成10(行ツ)149 / 裁判年月日: 平成15年12月19日 / 結論: 棄却
いわゆる一括支払システムに関する契約において譲渡担保権者と納税者との間でされた国税徴収法24条2項による告知書の発出の時点で譲渡担保権を実行することを内容とする合意は,同条5項の趣旨に反して無効である。 (補足意見がある。)
事件番号: 平成6(行ツ)7 / 裁判年月日: 平成6年12月6日 / 結論: 棄却
国税徴収法の定める第二次納税義務の納付告知には、国税の更正、決定等の期間制限に関する国税通則法七〇条は類推適用されない。
事件番号: 平成8(行ツ)54 / 裁判年月日: 平成11年6月10日 / 結論: 棄却
相続財産に属する特定の財産を計算の基礎としない相続税の期限内申告書が提出された場合において、納税者が当該財産が相続財産に属さないか又は属する可能性が小さいことを客観的に裏付けるに足りる事実を認識して期限内申告書を提出したときは、国税通則法六五条四項にいう「正当な理由」がある。