弁護人からの飲食物差入れ拒否及び弁護人への宅下げ禁止のような拘置所職員のした処分と刑訴法430条1項又は2項の準抗告の許否(消極)
刑訴法430条1項,刑訴法430条2項
判旨
拘置所職員が行った弁護人からの飲食物差入れ拒否および弁護人への宅下げ禁止処分に対しては、刑事訴訟法430条に基づくいわゆる準抗告を申し立てることはできない。
問題の所在(論点)
拘置所職員(刑事施設職員)が収容者に対して行った物品の差入れ拒否や宅下げ禁止処分について、刑事訴訟法430条1項または2項の準抗告を申し立てることが可能か。
規範
刑事訴訟法430条1項および2項が定める準抗告の対象は、検察官、検察事務官または司法警察職員が行った処分、および裁判官が行った一定の裁判に限定される。拘置所職員(刑事施設職員)が行った収容者の処遇等に関する処分は、同条が限定列挙する主体の処分には含まれない。
重要事実
拘置所に収容されていた被告人に対し、拘置所職員が、弁護人からの飲食物の差入れを拒否し、かつ弁護人への宅下げを禁止する処分を行った。これに対し、被告人側が不服として、刑事訴訟法430条に基づき裁判所に対して準抗告を申し立てた事案である。
あてはめ
刑事訴訟法430条は準抗告の対象を厳格に定めている。本件における差入れ拒否等の処分は、拘置所職員による行政的な処遇であり、同条1項の「検察官、検察事務官又は司法警察職員」による処分にも、同条2項の「裁判官」の裁判にも該当しない。したがって、原審が準抗告を不適法とした判断は、法の明文規定に照らして正当であると解される。
事件番号: 平成7(し)44 / 裁判年月日: 平成7年4月7日 / 結論: 棄却
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結論
拘置所職員の処分に対し、刑事訴訟法430条1項又は2項の準抗告を申し立てることはできない。
実務上の射程
刑事手続上の「準抗告」の対象外であることを明確にした判例である。拘置所側の処分(処遇)に不服がある場合は、刑事収容施設法に基づく審査の請求や再審査の請求、あるいは行政事件訴訟法に基づく取消訴訟や国家賠償請求といった別経路の法的手段を検討すべきであることを示唆している。
事件番号: 昭和48(し)64 / 裁判年月日: 昭和48年8月7日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】裁判官による逮捕状の発付は、裁判所による裁判ではなく裁判官による「裁判外の処分」に当たるが、これに対する準抗告(刑訴法429条1項)等の不服申立の道は法上存しない。 第1 事案の概要:申立人は、賍物収受被疑事件において簡易裁判所裁判官が発付した逮捕状に対し、準抗告を申し立てた。これを受けた原審(地…
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