判旨
刑事訴訟法60条1項所定の勾留の事由の有無に関する原審の認定を不服とする主張は、適法な特別抗告理由には当たらない。
問題の所在(論点)
刑事訴訟法60条1項所定の勾留の事由の有無に関する原審の認定を争うことが、刑事訴訟法433条の特別抗告理由として認められるか。
規範
刑事訴訟法433条1項に基づく特別抗告において、憲法違反または判例違反の主張を伴わず、単に勾留の事由(同法60条1項)の有無に係る事実認定を非難する主張は、適法な抗告理由とならない。
重要事実
本件は、被告人に対する勾留の事由が認められないとした原審の判断(勾留の取消しまたは執行停止等に関する判断と推測されるが、詳細は判決文からは不明)に対し、検察側あるいは関係者が特別抗告を申し立てた事案である。抗告人は高等裁判所の判例を引用して主張したが、いずれも事案を異にするものであった。
あてはめ
抗告人が引用した高等裁判所の判例は、本件とは事案を異にしており適切ではない。したがって、抗告人の主張は、結局のところ本件について刑事訴訟法60条1項所定の勾留の事由が認められないとした原審の事実認定を非難するものに帰着する。これは、特別抗告において限定されている不服申立ての事由に該当しない。
結論
本件特別抗告は棄却される。
実務上の射程
特別抗告は憲法違反または最高裁・高裁判例との相反を理由とする場合に限定される(刑訴法433条1項)。単なる勾留の事由の存否という事実誤認や裁量の不当を争う趣旨の主張は、実務上、適法な特別抗告理由とならないことを確認する際に参照される。
事件番号: 昭和33(し)79 / 裁判年月日: 昭和33年12月11日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】勾留の事由の有無に関する原審の事実認定を争うことは、適法な特別抗告理由とならない。 第1 事案の概要:刑事訴訟法60条1項所定の勾留の事由が認められないとした原審の決定に対し、特別抗告人が各高等裁判所の判例を引用して不服を申し立てた事案である。 第2 問題の所在(論点):勾留の事由(刑訴法60条1…
事件番号: 昭和33(し)33 / 裁判年月日: 昭和33年7月2日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑事訴訟法60条1項所定の勾留の事由の有無に関する原審の事実認定を非難するものは、適法な特別抗告理由とはならない。勾留の事由の判断は、個別の事案に応じた裁判所の事実認定に委ねられる事項である。 第1 事案の概要:被疑者または被告人に対し、刑事訴訟法60条1項所定の勾留の事由が認められないとした原審…
事件番号: 昭和33(し)65 / 裁判年月日: 昭和33年9月29日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】勾留状に基づき拘束されていた被疑者が既に釈放され、当該勾留状が失効した場合には、もはやその効力を争う訴えの利益は失われる。 第1 事案の概要:被疑者等は、昭和33年8月26日に福岡地方裁判所が発した勾留状に基づき勾留されていた。しかし、同年9月2日に被疑者等は釈放され、当該勾留状は同日をもって失効…
事件番号: 昭和33(し)62 / 裁判年月日: 昭和33年12月19日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】学問の自由であっても公共の福祉による内在的制限を受け、犯罪捜査に必要な捜索・差押えを免れる絶対的な特権ではないが、捜査機関はその執行に際し、学問の自由を阻害しないよう十分な考慮を払うべきである。 第1 事案の概要:教育研究所(A)に対し、警察が犯罪捜査を目的として捜索・差押えの令状を執行しようとし…
事件番号: 昭和33(し)69 / 裁判年月日: 昭和33年10月8日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】勾留状により勾留されていた被疑者が釈放され勾留状が失効した場合には、原決定を取り消す実益がないため、特別抗告はその理由について裁判をする実益を欠く。 第1 事案の概要:被疑者等は、昭和33年9月2日に発せられた勾留状に基づき勾留されていた。しかし、同年9月7日に留置必要事由が消滅したとして釈放され…