判旨
勾留状により勾留されていた被疑者が釈放され勾留状が失効した場合には、原決定を取り消す実益がないため、特別抗告はその理由について裁判をする実益を欠く。
問題の所在(論点)
勾留中の被疑者が釈放され、勾留状が既に失効している場合において、当該勾留等に関する裁判に対する不服申立て(特別抗告)について裁判をする実益が認められるか。
規範
抗告の対象となっている勾留等の強制処分の執行が終了し、または処分の根拠となった令状が失効した場合には、当該処分を取り消したとしても事後的救済としての実益が失われる。したがって、不服申立ての対象となる法的利益が消滅したものとして、裁判をする実益がないと判断される。
重要事実
被疑者等は、昭和33年9月2日に発せられた勾留状に基づき勾留されていた。しかし、同年9月7日に留置必要事由が消滅したとして釈放され、当該勾留状は同日をもって失効した。その状況下で、勾留に関する原決定を不服として特別抗告が申し立てられた。
あてはめ
本件において、被疑者等は既に釈放されており、勾留の根拠であった勾留状は失効している。原決定を取り消したとしても、既に終了した勾留状態を解消するという直接的な効果を得ることはできない。したがって、記録上、勾留状の失効が明らかである以上、原決定を取り消す実益はなく、抗告理由の当否を検討する必要もないと解される。
結論
釈放により勾留状が失効した後は、原決定を取り消す実益がないため、特別抗告を棄却すべきである。
実務上の射程
本判決は、刑事訴訟における不服申立ての「訴えの利益(裁判をする実益)」に関する一般原則を示している。実務上、身体拘束の解除後に令状の有効性を争うことは原則としてできないが、違法な身体拘束に対する国家賠償請求等、別個の救済手段を検討する際の前提知識として機能する。
事件番号: 昭和33(し)64 / 裁判年月日: 昭和33年9月29日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】勾留状の失効により、裁判の効力を争う実益が失われた場合には、上訴の利益が認められず、特別抗告を棄却すべきである。 第1 事案の概要:被疑者らは、昭和33年8月26日に発せられた勾留状に基づき勾留されていた。しかし、同年9月2日に被疑者らが釈放されたことで、当該勾留状は失効した。この状況下で、申立人…
事件番号: 昭和33(し)65 / 裁判年月日: 昭和33年9月29日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】勾留状に基づき拘束されていた被疑者が既に釈放され、当該勾留状が失効した場合には、もはやその効力を争う訴えの利益は失われる。 第1 事案の概要:被疑者等は、昭和33年8月26日に福岡地方裁判所が発した勾留状に基づき勾留されていた。しかし、同年9月2日に被疑者等は釈放され、当該勾留状は同日をもって失効…
事件番号: 昭和32(し)23 / 裁判年月日: 昭和32年5月21日 / 結論: 棄却
勾留せられた被疑者が留置の必要事由消滅により釈放された以上、同人に対する勾留状の効力を争うことは利益がない。
事件番号: 平成3(し)112 / 裁判年月日: 平成3年10月29日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】勾留期間延長の裁判に対する不服申立てにおいて、既に被疑者が釈放されている場合には、裁判を取り消すことによる法律上の利益が失われるため、抗告は不適法となる。 第1 事案の概要:申立人は勾留期間延長の裁判を受けたが、その後、平成3年10月15日に釈放された。しかし、申立人は当該勾留期間延長の裁判の取消…
事件番号: 昭和33(し)41 / 裁判年月日: 昭和33年7月22日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑事訴訟法60条1項所定の勾留の事由の有無に関する原審の認定を不服とする主張は、適法な特別抗告理由には当たらない。 第1 事案の概要:本件は、被告人に対する勾留の事由が認められないとした原審の判断(勾留の取消しまたは執行停止等に関する判断と推測されるが、詳細は判決文からは不明)に対し、検察側あるい…