勾留期間延長の裁判の取消しを求める特別抗告の申立てがされた後に申立人が釈放された場合の特別抗告の効力
刑訴法208条2項
判旨
勾留期間延長の裁判に対する不服申立てにおいて、既に被疑者が釈放されている場合には、裁判を取り消すことによる法律上の利益が失われるため、抗告は不適法となる。
問題の所在(論点)
勾留期間延長の裁判に対し抗告がなされた後、申立人が釈放された場合、当該裁判の取消しを求める抗告に法律上の利益が認められるか。
規範
不服申立て(抗告)の適法性には、当該裁判を取り消すことによって回復されるべき「法律上の利益」が存続していることが必要である。身体拘束を内容とする裁判の効力を争う場合、対象者が釈放され拘束状態が解消されたときは、特段の事情がない限り、裁判を取り消す実益が失われる。
重要事実
申立人は勾留期間延長の裁判を受けたが、その後、平成3年10月15日に釈放された。しかし、申立人は当該勾留期間延長の裁判の取消しを求めて抗告を維持した。
あてはめ
申立人は、本件抗告の審理継続中に既に釈放されている。これにより、勾留期間延長によって制限されていた身体の自由は既に回復されており、もはや勾留延長の裁判を取り消して身体拘束を解くという直接的な救済の必要性は消滅している。したがって、本件裁判の取消しを求める法律上の利益は欠如しているといえる。
事件番号: 昭和33(し)69 / 裁判年月日: 昭和33年10月8日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】勾留状により勾留されていた被疑者が釈放され勾留状が失効した場合には、原決定を取り消す実益がないため、特別抗告はその理由について裁判をする実益を欠く。 第1 事案の概要:被疑者等は、昭和33年9月2日に発せられた勾留状に基づき勾留されていた。しかし、同年9月7日に留置必要事由が消滅したとして釈放され…
結論
本件抗告は、法律上の利益を欠き不適法であるため、棄却を免れない。
実務上の射程
刑事訴訟手続における不服申立ての利益に関する一般原則を確認するものである。勾留や保釈却下など身体拘束に関する決定を争う際、判断までに拘束が終了した(満期、釈放、起訴等)場合の処理として実務上定着している。答案上は、事後的な救済(国家賠償等)の可能性とは別に、手続上の訴えの利益が否定される根拠として用いる。
事件番号: 昭和33(し)64 / 裁判年月日: 昭和33年9月29日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】勾留状の失効により、裁判の効力を争う実益が失われた場合には、上訴の利益が認められず、特別抗告を棄却すべきである。 第1 事案の概要:被疑者らは、昭和33年8月26日に発せられた勾留状に基づき勾留されていた。しかし、同年9月2日に被疑者らが釈放されたことで、当該勾留状は失効した。この状況下で、申立人…
事件番号: 昭和33(し)65 / 裁判年月日: 昭和33年9月29日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】勾留状に基づき拘束されていた被疑者が既に釈放され、当該勾留状が失効した場合には、もはやその効力を争う訴えの利益は失われる。 第1 事案の概要:被疑者等は、昭和33年8月26日に福岡地方裁判所が発した勾留状に基づき勾留されていた。しかし、同年9月2日に被疑者等は釈放され、当該勾留状は同日をもって失効…
事件番号: 昭和44(し)20 / 裁判年月日: 昭和44年4月10日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】勾留状により勾留されていた被疑者が釈放された場合には、勾留の取消し等を求める不服申立ての利益が消滅するため、裁判所は原決定を取り消す実益がないものとして抗告を棄却すべきである。 第1 事案の概要:申立人は、昭和44年1月27日に簡易裁判所の裁判官が発した勾留状に基づき勾留されていた。しかし、その後…
事件番号: 昭和43(し)106 / 裁判年月日: 昭和43年12月24日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】勾留状により拘束されていた被疑者が既に釈放された場合、勾留の裁判に対する不服申立てについて判断し、原決定を取り消す実益は失われる。 第1 事案の概要:申立人らは、昭和43年11月28日に東京地方裁判所裁判官が発した勾留状に基づき勾留されていた。しかし、抗告審の審理継続中である同年12月13日に釈放…