担保不動産競売の手続における配当表記載の根抵当権者の配当額について配当異議の訴えが提起されたためにその配当額に相当する金銭が供託され,その後,当該根抵当権者が上記訴えに係る訴訟において勝訴したことにより,当該根抵当権者に対し上記配当表記載のとおりに配当がされる場合には,当該供託金は,その支払委託がされた時点における被担保債権に民法489条から491条までの規定に従った充当がされる。
配当表記載の根抵当権者の配当額に相当する金銭が供託され,その後,当該根抵当権者に対し上記配当表記載のとおりに配当がされる場合における,当該供託金の充当方法
民法489条,民法490条,民法491条,民事執行法85条1項,民事執行法85条6項,民事執行法90条,民事執行法91条1項7号,民事執行法92条1項,民事執行法188条,民事執行規則61条,民事執行規則173条1項,供託規則30条1項
判旨
不動産競売において配当異議の訴えが提起され配当金が供託された場合、当該配当金は、勝訴判決の確定により供託金の支払委託がされた時点における被担保債権に法定充当される。その結果、配当期日後から支払委託時までに生じた遅延損害金も充当の対象に含まれる。
問題の所在(論点)
配当異議の訴えが提起され配当額が供託された後、供託金の支払委託がなされた場合において、法定充当の基準となる「被担保債権」の範囲および確定時期はいつか。特に、配当期日後に発生した遅延損害金が充当の対象に含まれるか。
規範
担保不動産競売による配当は実体法上の被担保債権を満足させるものであるから、配当により消滅するのは配当時点において実体法上存在する債権である。配当異議の訴えにより配当額が供託された場合、配当の実施は供託金の支払委託によって行われるため、当該供託金は「支払委託がされた時点」における被担保債権に法定充当(民法489条〜491条)される。
重要事実
債権者(被上告人)は、債務者(上告人)の所有物件に対し根抵当権を有していた。前件競売手続の配当期日(平成22年2月)において債権者への配当額が定められたが、債務者らが配当異議の訴えを提起したため、配当額相当の約3739万円が供託された。その後、債務者らの敗訴が確定し、平成23年2月に供託金の支払委託がなされ、債権者がこれを受領した。債務者は、配当金は「前件配当期日」時点の債権(元本・利息等)に充当されるべきであり、配当期日後に発生した遅延損害金には充当されないと主張して、後続の競売手続における残債権額を争った。
あてはめ
本件において、前件配当表記載の配当額につき異議が出されたことで金銭が供託されたが、その後の勝訴により供託金の支払委託がなされたのは平成23年2月3日である。この時点において実体法上存在する被担保債権には、前件配当期日(平成22年2月4日)から支払委託時までに発生した遅延損害金も含まれる。したがって、法定充当はこれらを含む全債権に対して行われるべきであり、債務者の主張するように配当期日時点の債権に限定されるものではない。計算上、支払委託時の債権額に充当した後の残元金は、本件配当表の記載額を下回らない。
結論
供託金の支払委託がされた時点における被担保債権に法定充当されるため、前件配当期日後に生じた遅延損害金への充当を認めた原審の判断は正当であり、上告を棄却する。
実務上の射程
配当異議の訴えにより配当実施が遅延した場合の充当時期を明確化した。実務上、債務者による異議申立てによって配当が遅れた期間の遅延損害金も優先弁済の枠内で回収可能であることを示しており、配当異議の訴えに伴う実体法上の権利関係を整理する際に引用すべき判例である。
事件番号: 平成20(受)1134 / 裁判年月日: 平成21年7月14日 / 結論: 破棄自判
債権差押命令の申立書には請求債権中の遅延損害金につき申立日までの確定金額を記載させる執行裁判所の取扱いに従って上記命令の申立てをした債権者は,計算書で請求債権中の遅延損害金を上記の確定金額として配当を受けることを求める意思を明らかにしたなどの特段の事情のない限り,計算書提出の有無を問わず,債務名義の金額に基づき,配当期…