債権差押命令の申立書には請求債権中の遅延損害金につき申立日までの確定金額を記載させる執行裁判所の取扱いに従って上記命令の申立てをした債権者は,計算書で請求債権中の遅延損害金を上記の確定金額として配当を受けることを求める意思を明らかにしたなどの特段の事情のない限り,計算書提出の有無を問わず,債務名義の金額に基づき,配当期日までの遅延損害金の額を配当額の計算の基礎となる債権額に加えて計算された金額の配当を受けることができる。
債権差押命令の申立書には請求債権中の遅延損害金につき申立日までの確定金額を記載させる執行裁判所の取扱いに従って上記命令の申立てをした債権者が受けることのできる配当額の計算の基礎とすべき債権額
民事執行法85条1項,民事執行法85条2項,民事執行法166条,民事執行規則60条,民事執行規則145条
判旨
配当等により弁済に充当されるべき金額が確定したときは、その弁済の効力は配当要求の時点ではなく、配当期日に発生する。もっとも、配当期日後の遅延損害金については債務者の負担を免れさせるべきであり、実務上採用されている「充当合意」がある場合には、配当要求時までの元利金等を基準に配当を行う運用は有効である。
問題の所在(論点)
民事執行手続における配当金による弁済の効力発生時期はいか。また、配当要求時を基準に遅延損害金の計算を打ち切る実務上の「充当合意」の有効性と、その場合の配当額算定の妥当性が問題となる。
規範
配当等により弁済に充当されるべき金額が確定したとしても、弁済の効力が発生するのは原則として配当期日である。しかし、配当要求から配当期日までの期間が長期に及ぶ場合に、その間の遅延損害金をすべて債務者の負担とすることは衡平を欠く。したがって、債権者が配当要求時までの元利金を充当対象とする「取扱い」に同意し、債務者もこれに異議を述べない等、実務上の「充当合意」が成立している場合には、その合意に基づき配当額を算定することが認められる。
重要事実
債権者である上告人は、債務者に対する複数の仮差押命令に基づき配当要求を行った。執行裁判所は、配当要求時をもって遅延損害金の計算を打ち切るという実務上の慣行(いわゆる充当合意の取扱い)に基づき、各配当要求日までの元利金を対象とする配当表を作成した。これに対し、債務者側は配当期日までの全期間の遅延損害金が考慮されていない(債権額が不足している)として配当異議の訴えを提起した。
あてはめ
弁済の効力発生時期は原則として配当期日である。本件において、上告人は配当要求に際し、配当要求時までの計算による債権届出書を提出しており、これは実務上の「取扱い」を承諾したものといえる。債務者においても、特段の異議がない限り、配当要求時までの遅延損害金を負担し、それ以降の損害金の負担を免れるという合理的期待を有する。このような実務上の慣行に基づく処理は、債務者の負担軽減と迅速な配当手続の実現という合理性を有しており、法の認める範囲内といえる。
結論
配当要求時までの元利金を基準として配当額を定めた配当表は適法である。配当期日までの遅延損害金を加算すべきとした原審の判断には、法令の解釈に誤りがある。
実務上の射程
民事執行実務における「配当要求時までの元利金で充当を固定する」という運用の適法性を担保する判例である。答案上は、弁済の効力発生時期(原則:配当期日)を確認した上で、実務上の合理性や当事者の合理的意思解釈を根拠に、例外的な充当計算を肯定する際の論拠として用いる。
事件番号: 平成15(受)278 / 裁判年月日: 平成17年11月24日 / 結論: 破棄自判
同順位の根抵当権者の1人が提出した不動産競売事件の申立書の被担保債権及び請求債権の部分における「金8億円 但し,債権者が債務者に対して有する下記債権のうち,下記記載の順序にしたがい上記金額に満つるまで。」との記載は,これに続けて8億円を超える7件の手形貸付に係る債権が記載されていること,同申立書の添付資料である不動産登…