金銭債権の支払を請求する訴えの提起時にされた訴訟上の救助の申立てに対し,当該債権の数量的な一部について勝訴の見込みがないとはいえないことを理由として,その部分に対応する訴え提起の手数料につき訴訟上の救助を付与する決定が確定した場合において,請求が上記数量的な一部に減縮されたときは,訴え提起の手数料が納付されていないことを理由に減縮後の請求に係る訴えを却下することは許されない。
訴訟の目的である金銭債権の数量的な一部に対応する訴え提起の手数料につき訴訟上の救助を付与する決定が確定した場合において,請求が上記数量的な一部に減縮された後の訴えを却下することの許否
民訴法82条1項,民訴法83条1項1号,民訴法262条1項,民事訴訟費用等に関する法律6条
判旨
金銭債権の支払を請求する訴えの提起時にされた訴訟上の救助の申立てに対し、当該債権の数量的な一部について勝訴の見込みがあるとして一部救助決定が確定した場合において、請求が当該一部に減縮されたときは、手数料の未納を理由に減縮後の訴えを却下することは許されない。
問題の所在(論点)
訴えの提起と同時に訴訟上の救助を申し立てたが、請求額の一部についてのみ救助を付与する決定がなされた場合において、原告が請求額を救助範囲内へ減縮したにもかかわらず、当初の請求額に基づく手数料の不足分が納付されないことを理由に訴えを不適法として却下できるか(民事訴訟法82条1項、140条)。
規範
1. 訴訟上の救助制度は、正当な権利を有する可能性がありながら無資力のために保護を受けられない者を社会政策的観点から救済する趣旨である。 2. したがって、一部救助決定には、勝訴の見込みがある部分に請求が減縮された場合、当該部分に対応する手数料全額の支払を猶予し、当初の請求額との差額の納付がなくとも減縮後の訴えを適法とする趣旨が含まれると解すべきである。 3. これを否定し、当初の請求額に基づく手数料納付を必須とすれば、一部救助決定を認める制度趣旨に反することとなる。
事件番号: 令和5(許)1 / 裁判年月日: 令和5年10月19日 / 結論: 破棄差戻
1 共同して訴えを提起した各原告の請求の価額を合算したものを訴訟の目的の価額とする場合において、訴え提起の手数料につき各原告に対する訴訟上の救助の付与対象となるべき額は、上記訴訟の目的の価額を基礎として算出される訴え提起の手数料の額を各原告の請求の価額に応じて案分して得た額に限られる。 2 共同して訴えを提起した各原告…
重要事実
1. 被上告人は、国賠法に基づき300万円の支払を求めて提訴し、同時に訴訟上の救助を申し立てた。 2. 第1審は、50万円の請求部分に限り勝訴の見込みがあるとして、50万円に対応する手数料(5,000円)についてのみ救助を付与し、その余を却下する一部救助決定をした。 3. 同裁判長は、300万円の手数料(2万円)と救助範囲(5,000円)の差額1万5,000円の補正命令を発した。 4. 被上告人は請求額を50万円に減縮する訴状訂正申立書を提出したが、差額の印紙は納付しなかった。 5. 第1審は、補正命令に応じた納付がないとして訴えを却下した。
あてはめ
1. 本件では、請求の数量的一部である50万円につき勝訴の見込みがあるとして一部救助決定が確定している。 2. 被上告人は訴状訂正により請求を当該50万円に減縮しており、上述の規範に照らせば、この一部救助決定によって減縮後の請求に係る手数料全額(5,000円)の支払が猶予されたものといえる。 3. したがって、当初の請求額(300万円)との差額である1万5,000円が納付されていないことをもって、直ちに本件訴えを不適法と評価することはできない。
結論
一部救助決定の範囲内に請求を減縮した以上、手数料の未納を理由に訴えを却下することは許されない。第1審判決を取り消し差し戻した原審の判断は妥当である。
実務上の射程
訴訟上の救助の申立てが一部却下された場合、申立人は「即時抗告で争う」ほか、「救助が認められた範囲に請求を減縮して適法な訴えとして維持する」という選択肢が実務上保障されることになった。
事件番号: 昭和28(マ)123 / 裁判年月日: 昭和30年3月24日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】民事訴訟法上の訴訟上の救助の申立てについて、裁判所がこれを認めるべき要件を満たさないと判断した場合、当該申立ては却下されるべきである。 第1 事案の概要:申立人は、当事者間における昭和28年(オ)第883号損害賠償請求事件について、最高裁判所に対し訴訟上の救助の申立てを行った。なお、具体的な資力状…