個人の道府県民税及び市町村民税の所得割に係る賦課決定の期間制限につき,その特例を定める地方税法(平成25年法律第3号による改正前のもの)17条の6第3項3号にいう所得税に係る不服申立て又は訴えについての決定,裁決又は判決があった場合とは,当該不服申立て又は訴えについてその対象となる所得税の課税標準に異動を生じさせ,その異動した結果に従って個人の道府県民税及び市町村民税の所得割を増減させる賦課決定をすべき必要を生じさせる決定,裁決又は判決があった場合をいう。
個人住民税の所得割に係る賦課決定の期間制限の特例を定める地方税法(平成25年法律第3号による改正前のもの)17条の6第3項3号にいう決定,裁決又は判決があった場合の意義
地方税法(平成23年法律第115号による改正前のもの)17条の5第1項,地方税法(平成25年法律第3号による改正前のもの)17条の6第3項1号,地方税法(平成25年法律第3号による改正前のもの)17条の6第3項3号
判旨
地方税法17条の6第3項3号にいう所得税の訴えについての判決があった場合とは、所得税の課税標準に異動を生じさせ、住民税の所得割を増減させる必要を生じさせる判決があった場合を指す。したがって、所得税の更正処分を維持する(棄却する)判決は、課税標準に新たな異動を生じさせないため、同号の期間制限の特例は適用されない。
問題の所在(論点)
所得税の更正処分等の取消訴訟において、請求を棄却する(処分を維持する)判決が確定した場合、地方税法17条の6第3項3号にいう「所得税に係る訴えについての判決があった場合」として、住民税の賦課決定の期間制限の特例が適用されるか。
規範
地方税法17条の6第3項3号の特例規定は、所得税の課税標準に異動を生じさせる処分や判決等が地方税の期間制限(原則3年)経過後になされた場合に、課税の適正を期す趣旨で定められたものである。したがって、同号にいう判決等があった場合とは、当該不服申立て又は訴えについて、その対象となる所得税の課税標準に異動を生じさせ、その異動した結果に従って個人の住民税の所得割を増減させる賦課決定をすべき必要を生じさせる判決等があった場合をいう。
事件番号: 昭和33(オ)224 / 裁判年月日: 昭和36年5月26日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】審査請求の対象は、審査決定書の記載にかかわらず、不服申立人の真意に基づいて客観的に判断されるべきであり、加算税等のみを対象とした場合には所得金額等に関する訴えは適法な前置手続を欠く。また、既存の通知の誤謬を訂正する通知がなされても、それが新たな処分を構成しない限り、訴訟の対象が当然に拡大することは…
重要事実
納税者Xは、税務署長から平成15〜17年分の所得税の増額更正を受けた。Xはこの更正処分の取消しを求めて提訴したが、平成22年7月に請求棄却判決(処分維持)が確定した。飯塚市長は、この確定判決を受けて同年8月に住民税の増額賦課決定(本件各処分)を行った。本件各処分は、原則的な期間制限(3年)及び所得税更正時の特例期間(2年)を過ぎていたが、住民税側は「判決確定」を起点とする地方税法17条の6第3項3号の特例に該当し適法であると主張した。
あてはめ
住民税の所得割は所得税の課税標準を基準とするため、所得税に「異動」があった際に住民税も連動させる必要がある。本件の前訴判決は、更正処分を維持する棄却判決であり、更正処分により増加した所得税の課税標準に新たな異動を生じさせるものではない。そうであれば、改めて住民税を増減させる必要を生じさせるものではないから、同号にいう判決があった場合には当たらない。したがって、本件各処分に同号の特例は適用されず、原則的な期間制限および1号の特例期間をも経過した後にされたものとして違法となる。
結論
本件各処分は法定の期間制限に違反してされたものであり、違法として取り消されるべきである。
実務上の射程
所得税の変動に伴う地方税の賦課決定の除斥期間に関する判断指針。課税庁が勝訴(処分維持)した判決を起点として除斥期間を延長することは認められないことを明示しており、住民税の賦課決定が遅れた場合の救済として「判決確定」を濫用することを封じている。
事件番号: 昭和53(行ツ)55 / 裁判年月日: 昭和55年11月20日 / 結論: 棄却
一 省略 二 所得税法九六条ないし一〇一条の定める資産所得合算課税制度の合憲性を争う主張は、特定の法律における具体的な税額計算の定めに関する立法政策上の適不適を争うものにすぎず、違憲の問題を生ずるものでない。
事件番号: 昭和55(行ツ)67 / 裁判年月日: 昭和56年6月25日 / 結論: 棄却
地方税法二四条の五第一項三号、二九五条一項三号にいう老年者の「所得の金額」を算定するに当たつて当該老年者の受給した公的年金等の収入金額から租税特別措置法(昭和五四年法律第一五号による改正前のもの)二九条の三所定の老年者年金特別控除額を控除すべきではない。
事件番号: 昭和33(オ)692 / 裁判年月日: 昭和35年2月4日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】行政処分に対する出訴期間の起算点は、原則として最初の処分または審査決定の告知があった時から進行し、法令上の根拠がない再審査請求によってその進行が阻止されることはない。また、当初の処分の一部を取り消す等の誤謬訂正決定がなされても、当初の処分から既に経過した出訴期間が改めて進行を開始することはない。 …