課税処分に対する異議申立につき税務署長がした決定の取消を求める訴の出訴期間は、右課税処分に対する審査請求につき裁決があつた場合においても、異議申立についての決定があつたことを知つた日又は決定の日から起算すべきである。
課税処分に対する審査請求につき裁決があつた場合と右課税処分に対する異議申立につき税務署長がした決定の取消を求める訴の出訴期間
行政事件訴訟法14条,国税通則法75条1項,国税通則法75条3項,国税通則法76条1号
判旨
課税処分の異議申立棄却決定の取消訴訟における出訴期間は、当該決定を知った日から起算される。異議申立て後の原処分に対する審査請求の裁決があったとしても、行政事件訴訟法14条4項の適用(期間の延長)はない。
問題の所在(論点)
課税処分に対する異議申立棄却決定の取消訴訟において、出訴期間の起算点を行政事件訴訟法14条4項(現14条3項)に基づき「審査請求の裁決を知った日」とすることができるか。異議申立ての決定自体が審査請求の対象となり得るかが問題となる。
規範
行政事件訴訟法14条4項(旧法下。現14条3項柱書)は、裁決についてさらに審査請求ができる場合に、審査請求の裁決があった時から取消訴訟の出訴期間を起算する旨を定める。しかし、国税通則法上、異議申立ての決定は「処分」に該当し、これ自体をさらに審査請求の対象とすることはできない(同法75条、76条)。したがって、異議申立ての決定の取消しを求める訴えには同項の適用はなく、当該決定があったことを知った日から出訴期間を起算すべきである。
重要事実
Xは、昭和44年分から46年分までの所得税更正処分等に対し異議申立てをしたが、昭和48年4月28日付で棄却決定を受けた(同年5月8日通知受領)。Xは、同月25日に原処分につき国税不服審判所長へ審査請求を行い、昭和49年4月24日付で棄却裁決を受けた(同年5月17日通知受領)。その後、Xは昭和49年6月3日、本件異議申立棄却決定の取消しを求めて提訴した。原審は、審査請求の裁決から期間を起算し適法としたが、上告人が出訴期間の徒過を主張して上告した。
事件番号: 昭和38(オ)695 / 裁判年月日: 昭和39年10月13日 / 結論: 棄却
審査決定の通知書が審査の請求人に郵便をもつて配達された日は、所得税法(昭和三七年法律第六七号による改正前)第五一条第二項が出訴期間の起算日とする「審査の決定に係る通知を受けた日」にあたる。
あてはめ
国税通則法75条3項にいう「処分」は原処分を指し、異議申立ての決定自体を審査請求の対象とすることは認められない。また、決定の取消訴訟では決定固有の瑕疵のみが争点となる(行訴法10条2項)一方、原処分に対する審査請求では決定の固有の瑕疵を争うことはできず、審査請求によって決定の瑕疵が是正される余地はない。したがって、審査請求の裁決を待って出訴期間を起算すべき合理的理由はない。本件では、棄却決定の通知を受けた昭和48年5月8日が起算日となるため、昭和49年6月3日の提訴は3か月の期間を徒過している。
結論
本件訴えは、出訴期間を徒過した不適法なものとして却下されるべきである(控訴棄却)。
実務上の射程
異議申立て(現:再調査の請求)の決定の「固有の瑕疵」を争う場合の出訴期間に関する判断。原処分と裁決(決定)を切り離して考える「裁決主義」的枠組みにおいて、不服申立ての二階建て構造(再調査→審査請求)が取られる場合の出訴期間の管理に注意を促す射程を持つ。
事件番号: 昭和33(オ)692 / 裁判年月日: 昭和35年2月4日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】行政処分に対する出訴期間の起算点は、原則として最初の処分または審査決定の告知があった時から進行し、法令上の根拠がない再審査請求によってその進行が阻止されることはない。また、当初の処分の一部を取り消す等の誤謬訂正決定がなされても、当初の処分から既に経過した出訴期間が改めて進行を開始することはない。 …
事件番号: 昭和50(行ツ)94 / 裁判年月日: 昭和51年4月27日 / 結論: 破棄差戻
課税処分を受けていまだ当該課税処分にかかる税を納付していない者は、右課税処分の無効確認を求める訴を提起することができる。
事件番号: 昭和51(行ツ)13 / 裁判年月日: 昭和51年10月12日 / 結論: 破棄自判
昭和三八年法律第八〇号による改正前の地方税法のもとにおける不動産取得税の賦課権の消滅時効は、当該不動産の所有権取得の日を基準としてこれを起算すべきであり、右所有権取得についての登記又は申告等の日を基準とすべきではない。
事件番号: 昭和51(行ツ)99 / 裁判年月日: 昭和52年2月17日 / 結論: 棄却
行政事件訴訟法一四条四項により出訴期間の計算をする場合には、「裁決があつたことを知つた日又は裁決の日」を期間に算入すべきである。