課税処分を受けていまだ当該課税処分にかかる税を納付していない者は、右課税処分の無効確認を求める訴を提起することができる。
課税処分を受けた者と課税処分無効確認の訴
行政事件訴訟法36条
判旨
課税処分を受け、税金を未納のため滞納処分を受けるおそれがある納税者は、行政事件訴訟法36条に基づき、当該処分の無効確認を求める訴えを提起することができる。
問題の所在(論点)
課税処分につき、滞納処分が未だなされていない段階において、納税者が当該課税処分の無効確認を求める訴えを提起することは、行政事件訴訟法36条にいう「現在の法律関係に関する訴えによって目的を達することができない」場合に該当し、適法か。
規範
行政事件訴訟法36条に規定される無効等確認の訴えの原告適格(補充性)については、当該処分に続く一連の手続により不利益を受けるおそれがある場合、その予防のために当該処分の無効確認を求めることが「現在の法律関係に関する訴えによって目的を達することができない」場合に該当し、適法となると解する。
重要事実
上告人(納税者)は、所得税および入場税の課税処分を受けたが、当該税金をいまだ納付していなかった。そのため、上告人は今後、当該課税処分を前提とした滞納処分を受ける可能性のある状態に置かれていた。上告人は、課税処分の無効を主張してその確認を求める訴えを提起したが、原審はこれを不適法として却下した。
事件番号: 昭和34(オ)973 / 裁判年月日: 昭和36年7月21日 / 結論: 破棄差戻
一 所得金額更正に関する審査請求の却下決定があつた場合でも、右却下が違法である場合には、右更正処分の取消を求める訴は審査の決定を経たものとして適法である。 二 審査請求書に証拠書類の添付がなく、これに対し補正を求めたにかかわらず補正をしなかつたからといつて、審査請求を却下することは違法である。
あてはめ
本件において上告人は、課税処分にかかる税金を納付していないため、将来的に滞納処分を受ける具体的おそれがある。この場合、滞納処分がなされてからその執行を争うのではなく、前提となる課税処分の段階でその無効を確認することは、不利益を未然に防止するために必要かつ有効な手段といえる。したがって、現在の法律関係に関する訴え(公法上の当事者訴訟等)では目的を達し得ない特段の事情があるものとして、無効確認の訴えの補充性を満たすと解される。
結論
課税処分の無効確認の訴えは適法である。したがって、これを不適法として却下した原判決は破棄を免れず、本件を原審に差し戻すべきである。
実務上の射程
無効確認の訴えの「補充性」の要件に関し、処分の存在自体が将来の強制執行等による具体的な権利侵害のおそれを生じさせている場合には、予防的見地から訴えが認められることを示した。答案上は、取消訴訟の出訴期間徒過後の救済手段として、現在の法律関係を争う直接的な訴訟形態がない(または迂回的である)ことを論証する際に本判決の枠組みを用いる。
事件番号: 昭和37(オ)305 / 裁判年月日: 昭和38年6月14日 / 結論: 棄却
(省略)
事件番号: 昭和33(オ)224 / 裁判年月日: 昭和36年5月26日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】審査請求の対象は、審査決定書の記載にかかわらず、不服申立人の真意に基づいて客観的に判断されるべきであり、加算税等のみを対象とした場合には所得金額等に関する訴えは適法な前置手続を欠く。また、既存の通知の誤謬を訂正する通知がなされても、それが新たな処分を構成しない限り、訴訟の対象が当然に拡大することは…
事件番号: 昭和29(オ)64 / 裁判年月日: 昭和31年6月15日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】課税処分における所得額の算定について、仕入商品に対する利益率を推計により認定すること、および雑損金の有無を原審の判断に委ねることは、法令の解釈に関する重要な主張を含まない適法なものとされる。 第1 事案の概要:上告人は、税務当局による所得算定の基礎となった利益率の推計方法および雑損金の不算入につい…
事件番号: 平成8(行ツ)54 / 裁判年月日: 平成11年6月10日 / 結論: 棄却
相続財産に属する特定の財産を計算の基礎としない相続税の期限内申告書が提出された場合において、納税者が当該財産が相続財産に属さないか又は属する可能性が小さいことを客観的に裏付けるに足りる事実を認識して期限内申告書を提出したときは、国税通則法六五条四項にいう「正当な理由」がある。