昭和三八年法律第八〇号による改正前の地方税法のもとにおける不動産取得税の賦課権の消滅時効は、当該不動産の所有権取得の日を基準としてこれを起算すべきであり、右所有権取得についての登記又は申告等の日を基準とすべきではない。
昭和三八年法律第八〇号による改正前の地方税のもとにおける不動産取得税の賦課権の消滅時効の起算日
地方税法(昭和38年法律第80号による改正前のもの)18条1項,地方税法(昭和38年法律第80号による改正前のもの)73条の2
判旨
不動産取得税の賦課権の消滅時効は、法定の課税要件を充足する事実が発生した時(所有権取得の日)から起算され、登記や申告の日を基準とはしない。
問題の所在(論点)
地方税の賦課権に関する消滅時効(旧地方税法18条1項)の起算点である「これを行使することができる日」とは、客観的な所有権取得時か、それとも登記・申告等により課税権者が事実を知り得た時か。
規範
地方税法18条1項にいう「これを行使することができる日」とは、租税法律関係の安定を図る趣旨から、法定の課税要件を充足する事実が発生し、課税権者において法律上その賦課処分をすることができることとなった日をいう。課税原因の捕捉が事実上困難であっても、質問検査権等の存在に鑑みれば、起算点を遅らせる理由にはならない。
重要事実
上告人は、昭和38年5月9日に本件不動産の所有権を取得した。これに対し、課税権者である被上告人は、昭和46年11月13日に至って不動産取得税の賦課処分を行った。下級審は、所有権取得登記の日から5年以内であることを理由に処分を適法としていた。
事件番号: 昭和45(行ツ)82 / 裁判年月日: 昭和50年12月18日 / 結論: 棄却
一、地方税法七三条の二一第一項にいう「固定資産課税台帳に固定資産の価格が登録されている不動産」とは、不動産を取縛した日の属する年の一月一日における当該不動産の価格が固定資産課税台帳に登録されている不動産を指す。 二、基準年度に不動産を取得した場合において、右取得時までに基準年度に係る当該不動産の価格の決定及び当該価格の…
あてはめ
不動産取得税は所有権取得を課税原因とするものであり、その事実が発生したときは登記や申告を待たず、法律上いつでも課税可能である。本件では昭和38年5月9日の所有権取得の日が起算点となる。賦課処分がなされた昭和46年11月13日は、起算点から5年の消滅時効期間を経過した後にされたものであるといえる。
結論
本件賦課処分は、行使できる日から5年を経過した後にされたものとして違法であり、取り消されるべきである。
実務上の射程
消滅時効の起算点に関する「客観的進行説」を採る。行政側が課税対象を把握しにくいという事実上の困難は、時効の起算点に影響しない。現行の地方税法や国税通達における除斥期間等の解釈においても、権利行使の「法律上の障害」と「事実上の障害」を区別する際の基礎となる判例である。
事件番号: 昭和42(行ツ)58 / 裁判年月日: 昭和48年11月2日 / 結論: 棄却
売買契約の合意解除に基づく売主の所有権の回復も地方税法七三条の二第一項にいう「不動産の取得」にあたると解すべきである。
事件番号: 昭和43(行ツ)90 / 裁判年月日: 昭和48年11月16日 / 結論: 破棄自判
一、昭和三六年法律第七四号による改正前の地方税法のもとにおいても、譲渡担保による不動産の取得は、同法七三条の二第一項にいう「不動産の取得」にあたる。 二、昭和三六年法律第七四号による改正前の地方税法のもとにおいて、譲渡担保による不動産の取得につき、同法七三条の七第三号は類推適用されない。
事件番号: 昭和40(行ツ)12 / 裁判年月日: 昭和45年10月23日 / 結論: 棄却
不動産を等価交換により取得した場合も、地方税法七三条の二第一項にいう「不動産の取得」にあたる。 参照 (一審判決、東京地裁昭和三八年一二月二八日、行裁例集一四巻一二号一五八)
事件番号: 昭和58(行ツ)19 / 裁判年月日: 昭和59年12月7日 / 結論: 棄却
新築の家屋は、一連の新築工事が完了した時に、固定資産税の課税客体となる。