新築の家屋は、一連の新築工事が完了した時に、固定資産税の課税客体となる。
新築の家屋が固定資産税の課税客体となる時期
地方税法341条3号,地方税法342条1項
判旨
固定資産税における家屋の課税客体化の時期は、その性質、目的及び地方税法の規定に鑑み、一連の新築工事が完了した時と解するのが相当である。
問題の所在(論点)
不動産取得税の課税標準(地方税法73条の13第1項等)に関連し、新築家屋が固定資産税の課税客体(地方税法359条等)となる時期がいつかが問題となった。
規範
新築の家屋が固定資産税の課税客体となる時期は、一連の新築工事が完了した時である。その理由は、①家屋の資産価値に着目する財産税としての性質上、工事完了段階で初めて正確な評価が可能になること、②工事途中の建造物を客体とすることは、明確な基準による公平な課税を図る制度趣旨に反すること、③地方税法上の台帳課税主義や評価替えに関する規定(同法381条7項、349条2項等)が、工事完了後の状態を前提としていることにある。
重要事実
上告人は、昭和51年8月に家屋(本件建物)を取得した。当該家屋は、昭和50年1月1日時点では基礎・鉄骨・コンクリート工事は完了していたが、内部仕上げ工事(床、内壁、天井、照明等)が未完成の状態であった。同年2月にこれらの内部工事が完了し、引渡しがなされた。課税当局は、本件建物が昭和50年1月1日時点では課税客体ではなかったとして、昭和51年度の「新増分の家屋」に該当すると判断し、改正後の高い評価基準に基づき不動産取得税を賦課した。
事件番号: 昭和51(行ツ)13 / 裁判年月日: 昭和51年10月12日 / 結論: 破棄自判
昭和三八年法律第八〇号による改正前の地方税法のもとにおける不動産取得税の賦課権の消滅時効は、当該不動産の所有権取得の日を基準としてこれを起算すべきであり、右所有権取得についての登記又は申告等の日を基準とすべきではない。
あてはめ
本件建物は、昭和50年1月1日時点ではコンクリートの壁や床は出来上がっていたものの、家屋としての実質を備えるために必要な内部仕上げ工事(床・壁・天井・照明設備等)が全体として未完成であった。したがって、一連の新築工事がいまだ完了していたとはいえず、同日時点では固定資産税の課税客体となっていたとは認められない。本件建物が課税客体となったのは、全ての工事が完了した同年2月と評価される。
結論
本件建物は昭和51年度における「新増分の家屋」に該当するため、これに基づきなされた不動産取得税の賦課決定は適法である。
実務上の射程
本判決は、固定資産税・不動産取得税における「家屋」の成立時期を「新築工事の完了時」と定義し、民法上の不動産の概念(屋根、周壁、土地への定着)よりも厳格に、行政上の評価の明確性と公平性を重視する基準を示した。実務上は、主要構造部の完成だけでなく、内部造作を含む全ての工程の終了が必要とされる。
事件番号: 昭和45(行ツ)82 / 裁判年月日: 昭和50年12月18日 / 結論: 棄却
一、地方税法七三条の二一第一項にいう「固定資産課税台帳に固定資産の価格が登録されている不動産」とは、不動産を取縛した日の属する年の一月一日における当該不動産の価格が固定資産課税台帳に登録されている不動産を指す。 二、基準年度に不動産を取得した場合において、右取得時までに基準年度に係る当該不動産の価格の決定及び当該価格の…
事件番号: 平成4(行ツ)196 / 裁判年月日: 平成6年4月21日 / 結論: 破棄自判
地方税法七三条の二一第一項ただし書にいう「当該固定資産の価格により難いとき」とは、当該不動産につき、固定資産税の賦課期日後に増築、改築、損壊、地目の変換その他特別の事情が生じ、その結果、固定資産課税台帳に登録された価格が当該不動産の適正な時価を示しているものということができないため、右登録価格を不動産取得税の課税標準と…
事件番号: 昭和59(行ツ)299 / 裁判年月日: 昭和62年1月22日 / 結論: 棄却
相続土地の共有持分の取得が相続人らにおいて第一回遺産分割協議を合意解除し改めて第二回遺産分割協議をしたことに伴うものである場合には、右取得は地方税法七三条の七第一号にいう「相続に因る不動産の取得」に該当する。
事件番号: 昭和45(行ツ)54 / 裁判年月日: 昭和48年11月2日 / 結論: 棄却
売買契約の合意解除に基づく売主の所有権の回復は、それが合意によるものであると解除権の行使によるものであるとにかかわらず、地方税法七三条の二第一項にいう「不動産の取得」にあたると解すべきである。