審査決定の通知書が審査の請求人に郵便をもつて配達された日は、所得税法(昭和三七年法律第六七号による改正前)第五一条第二項が出訴期間の起算日とする「審査の決定に係る通知を受けた日」にあたる。
所得税法上の処分の取消訴訟の出訴期間の起算日。
所得税法(昭和37年法律67号による改正前)51条
判旨
所得税法上の出訴期間の起算点である「通知を受けた日」とは、通知書が送達され、相手方がこれを了知し得る状態に置かれた日を指し、実際の了知時期を問わない。また、出訴期間経過により確定力を生じた更正処分の瑕疵を、後の滞納処分の取消訴訟において主張することはできない。
問題の所在(論点)
1. 所得税法51条2項の出訴期間の起算点である「通知を受けた日」の意義。 2. 出訴期間を徒過し確定した更正処分の瑕疵を、後続の滞納処分の取消原因として主張できるか(違法性の承継の可否)。
規範
1. 所得税法51条2項(当時)にいう「通知を受けた日」とは、審査決定に係る通知が請求人の了知し得べき状態に置かれた日をいう。したがって、通知書が住所地に配達されたことをもって足り、現実に了知したか否か、またはいつ了知したかは、出訴期間の進行に影響しない。2. 更正処分等の行政処分が出訴期間の経過により形式的確定力を生じた場合、当該処分の有効性や租税債権の存在を、その後の滞納処分に対する不服申立てにおいて争うことはできない。
重要事実
上告人は、所得税の更正処分等を受けたが、その審査決定通知書は昭和36年2月22日に書留郵便により上告人の住所に配達された。上告人は、自身が実際に通知を了知した日はそれより後であると主張し、出訴期間の起算点を争うとともに、更正処分の無効または違法を理由に、後続の滞納処分の救済(国税徴収法166条等)を求めて提訴した。
あてはめ
1. 本件審査決定通知書は、昭和36年2月22日に上告人の住所地に書留郵便で配達されており、この時点で通知は「了知し得べき状態」に置かれたといえる。よって、この日を「通知を受けた日」と解すべきであり、上告人が現実に内容を覚知した時期は考慮されない。2. 本件更正処分は出訴期間の経過により形式的確定力を生じている。滞納処分は適法な租税債権の存在を前提とするものであるが、先行する更正処分が確定した以上、その瑕疵を滞納処分の段階で主張して租税債権の不存在を争うことは、法秩序の安定を欠くため認められない。
結論
1. 出訴期間の起算点は通知が住所に配達された日である。 2. 出訴期間を徒過した更正処分の瑕疵を理由に、滞納処分の効力を争うことはできない。
実務上の射程
行政処分における「通知を受けた日」の客観的解釈(了知可能説)を確立した。また、課税処分と滞納処分の間には違法性の承継を認めない実務上の原則を確認するものであり、答案上は出訴期間の徒過や違法性の承継が論点となる場面で、先行処分の確定力を強調する根拠として活用できる。
事件番号: 昭和33(オ)692 / 裁判年月日: 昭和35年2月4日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】行政処分に対する出訴期間の起算点は、原則として最初の処分または審査決定の告知があった時から進行し、法令上の根拠がない再審査請求によってその進行が阻止されることはない。また、当初の処分の一部を取り消す等の誤謬訂正決定がなされても、当初の処分から既に経過した出訴期間が改めて進行を開始することはない。 …
事件番号: 昭和50(行ツ)123 / 裁判年月日: 昭和53年2月24日 / 結論: 破棄自判
一 賃料増額請求が争われた場合における増額分の賃料は、原則として、その債権の存在を認める裁判が確定した日の属する年分の所得の計算上収入金額に算入されるべきである。 二 賃料増額請求にかかる増額分の賃料の支払を命じた仮執行宣言付判決に基づき支払を受けた金員は、その受領の日の属する年分の所得の計算上収入金額に算入されるべき…
事件番号: 昭和29(オ)557 / 裁判年月日: 昭和32年2月19日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】普通郵便による発送および還付の不存在という事実のみから、直ちに当該郵便物の到達を経験則上断定することはできない。 第1 事案の概要:上告人は、被上告人に対し決定通知書を普通郵便で発送し、これが返送されなかった事実がある。また、被上告人の近隣に住む第三者Eに対しても同時期に同様の通知を発送しており、…