国籍法12条は,憲法14条1項に違反しない。
国籍法12条と憲法14条1項
憲法14条1項,国籍法12条,国籍法17条1項,国籍法17条3項,戸籍法104条
判旨
国外で出生し重国籍となる子に対し、国籍留保の届出がない限り出生時に遡って日本国籍を喪失させるとする国籍法12条の規定は、立法目的において合理的根拠があり、その内容も立法府の裁量権の範囲内にあるため、憲法14条1項に違反しない。
問題の所在(論点)
国外で出生して日本国籍と外国国籍の重国籍となる子につき、国籍留保の意思表示がない限り生来的に日本国籍を喪失させるとする国籍法12条の規定が、日本で出生した重国籍者との区別において憲法14条1項に違反するか。
規範
日本国籍の取得要件によって生じた区別が憲法14条1項に違反するか否かは、①区別することの立法目的に合理的な根拠があり、かつ、②区別の具体的内容が立法目的との関連において不合理なものではなく、立法府の合理的な裁量判断の範囲内にあるか否かによって判断すべきである。
重要事実
日本国籍を有する父とフィリピン国籍を有する母の間にフィリピンで出生し、同国籍を取得した上告人らは、国籍法12条に基づき出生から3か月以内に父母等による日本国籍の留保の届出がなされなかった。その結果、出生時に遡って日本国籍を喪失した。上告人らは、日本で出生した重国籍者との間に生じるこの区別は憲法14条1項に違反すると主張し、国籍確認を求めて提訴した。
あてはめ
立法目的について、国外出生の重国籍者は我が国との結び付きが必ずしも密接とはいえず、形骸化した国籍の発生防止や重国籍の回避という目的には合理的な根拠がある(①)。区別の内容についても、父母等による国籍留保の意思表示を日本との結び付きの徴表とみることには合理性があり、届出期間も配慮されている。さらに、届出を失念しても20歳未満で日本に住所があれば届出による国籍取得が可能(同法17条1項)という救済措置もある。これらを考慮すれば、立法府の裁量判断の範囲を逸脱した不合理なものとはいえない(②)。
結論
国籍法12条は憲法14条1項に違反しない。したがって、適法に国籍留保がなされなかった上告人らが日本国籍を有しないとされたことは正当である。
実務上の射程
国籍取得に関する立法府の広範な裁量を認めつつ、平成20年大法廷判決の枠組み(目的の合理性+手段の相当性)を踏襲している。12条の合憲性を明確にした点で、国籍法上の区別の限界を示す基準となる。
事件番号: 平成19(行ツ)164 / 裁判年月日: 平成20年6月4日 / 結論: 破棄自判
1 国籍法3条1項が,日本国民である父と日本国民でない母との間に出生した後に父から認知された子について,父母の婚姻により嫡出子たる身分を取得した(準正のあった)場合に限り届出による日本国籍の取得を認めていることによって,認知されたにとどまる子と準正のあった子との間に日本国籍の取得に関する区別を生じさせていることは,遅く…