国籍法2条1号は,憲法14条1項に違反しない。
国籍法2条1号と憲法14条1項
憲法14条1項,国籍法2条1号
判旨
国籍法2条1号が、出生後の認知のみでは日本国籍の生来的取得を認めないことは、国籍取得の確定性という合理的根拠に基づくものであり、憲法14条1項に違反しない。
問題の所在(論点)
国籍法2条1号が、日本人の父から出生後に認知された非嫡出子に対し、出生による日本国籍の取得を認めていないことが、憲法14条1項の法の下の平等に反するか。
規範
国籍の得喪に関する要件をどのように定めるかは立法の裁量に委ねられる。この要件における区別が憲法14条1項に違反するか否かは、その区別が合理的根拠に基づくものといえるかによって判断すべきである。生来的国籍の取得については、子の出生時に確定的に決定されることが望ましい(浮動性の防止)。
重要事実
日本国民である父とフィリピン国籍の母との間に、婚姻関係外で出生した子(上告人)が、出生から約2年9か月後に父から認知を受けた。上告人は、認知の遡及効により、法2条1号に基づき出生時に遡って日本国籍を取得したと主張し、国籍確認等を求めて提訴した。
あてはめ
法2条1号は父母両系血統主義を採用し、出生時に日本人の父又は母と法律上の親子関係がある場合に国籍を付与する。生来的取得は出生時に確定的に決定されるのが望ましいが、出生後の認知は出生時点では未確定な事象である。したがって、出生後の認知による遡及的な親子関係のみでは生来的取得を認めないとする区別は、国籍取得の不確定さを回避する目的に照らし、合理的根拠があるといえる。
結論
国籍法2条1号は、憲法14条1項に違反しない。
実務上の射程
生来的国籍取得に関する合憲判決。後に法3条1項(準正要件)を違憲とした最大判平成20年6月4日との対比で重要である。本判決は「出生時の確定性」を重視する文脈で引用可能だが、伝来的取得(法3条)の論点と混同しないよう注意を要する。
事件番号: 平成19(行ツ)164 / 裁判年月日: 平成20年6月4日 / 結論: 破棄自判
1 国籍法3条1項が,日本国民である父と日本国民でない母との間に出生した後に父から認知された子について,父母の婚姻により嫡出子たる身分を取得した(準正のあった)場合に限り届出による日本国籍の取得を認めていることによって,認知されたにとどまる子と準正のあった子との間に日本国籍の取得に関する区別を生じさせていることは,遅く…