1 共有に属する株式について会社法106条本文の規定に基づく指定及び通知を欠いたまま当該株式についての権利が行使された場合において,当該権利の行使が民法の共有に関する規定に従ったものでないときは,株式会社が同条ただし書の同意をしても,当該権利の行使は,適法となるものではない。 2 共有に属する株式についての議決権の行使は,当該議決権の行使をもって直ちに株式を処分し,又は株式の内容を変更することになるなど特段の事情のない限り,株式の管理に関する行為として,民法252条本文により,各共有者の持分の価格に従い,その過半数で決せられる。
1 共有に属する株式について会社法106条本文の規定に基づく指定及び通知を欠いたまま権利が行使された場合における同条ただし書の株式会社の同意の効果 2 共有に属する株式についての議決権の行使の決定方法
(1,2につき)民法264条 (1につき)会社法106条 (2につき)会社法105条1項3号,民法251条,民法252条
判旨
準共有株式について会社法106条本文の指定・通知を欠く権利行使は、同条ただし書の会社の同意があっても、民法の共有に関する規定(252条本文)に従ったものでない限り適法とはならない。また、議決権行使は特段の事情がない限り「管理行為」に当たる。
問題の所在(論点)
会社法106条本文の指定・通知を欠く準共有株式の議決権行使について、同条ただし書の会社の同意があれば、民法上の共有物の管理に関する決定(持分の過半数)を欠いていても適法となるか。また、議決権行使の法的性質は何か。
規範
1. 会社法106条本文は、民法264条ただし書の「特別の定め」であり、同条ただし書は会社が同意した場合に当該特別の定めの適用を排除する規定である。したがって、指定・通知を欠く権利行使は、民法の共有に関する規定に従ったものでない限り、会社の同意があっても適法とはならない。 2. 共有株式の議決権行使は、直ちに株式を処分し、又は株式の内容を変更することになるなどの特段の事情がない限り、株式の「管理に関する行為」(民法252条本文)として、各共有者の持分の価格の過半数で決すべきである。
事件番号: 平成10(オ)866 / 裁判年月日: 平成11年12月14日 / 結論: 棄却
株式が数人の共有に属する場合において、商法二〇三条二項による株主の権利を行使すべき者の指定及び会社に対する通知を欠くときは、共有者全員が議決権を共同して行使する場合を除き、会社の側から議決権の行使を認めることはできない。
重要事実
1. 特例有限会社である被告(上告人)の株式2000株(本件準共有株式)を、原告(被上告人)とBが各2分の1の割合で共同相続した。 2. Bは、会社法106条本文の指定・通知を欠いたまま、本件準共有株式全部について議決権を行使した。被告会社はこれに同意した(同条ただし書)。 3. 当該議決権行使の対象は、取締役・代表取締役の選任、定款変更(本店所在地変更)及び本店移転であった。 4. 持分2分の1を有する原告は、当該議決権行使に同意していなかった。
あてはめ
1. 本件議決権行使の議案(役員選任、本店移転等)は、可決により直ちに株式が処分・変更される「特段の事情」は認められない。よって、本件議決権行使は株式の「管理に関する行為」として、持分の過半数(民法252条本文)による決定を要する。 2. Bは2分の1の持分を有するにすぎず、残余の2分の1を有する原告が反対している以上、過半数による決定があったとはいえない。 3. 民法の規定に従っていない以上、会社法106条ただし書の会社の同意があっても、本件議決権行使は適法とはならない。
結論
本件議決権行使は不適法であり、これに基づきなされた各決議には決議方法の法令違反(会社法831条1項1号)があるため、取り消されるべきである。
実務上の射程
準共有株式の議決権行使において、会社の同意はあくまで会社法上の手続的制約(指定・通知)を免除するに過ぎず、共有者間の実体法上の意思決定(民法252条本文)の欠如を治癒するものではないことを明示した。
事件番号: 昭和29(オ)643 / 裁判年月日: 昭和31年11月15日 / 結論: 棄却
一 昭和二五年法律第一六七号による改正前の商法第二五一条が削除された後は、裁判所に右削除前と同様な裁量権があると解すべきではない。 二 予め株主総会決議事項の通知をしなかつたというような軽微でない手続上の瑕疵があるときは、裁判所は右決議取消の請求を認容すべきである。
事件番号: 昭和34(オ)250 / 裁判年月日: 昭和36年11月24日 / 結論: 棄却
一 訴訟の目的が当事者の一方及び第三者について合一にのみ確定すべき場合でも、その第三者は、当該訴訟の当事者となりうる適格を有しないかぎり、民訴第七五条の規定により、共同訴訟人として当該訴訟に参加することができない。 二 株主総会決議取消訴訟において被告となりうる者は、当該株式会社に限られる。
事件番号: 昭和39(オ)752 / 裁判年月日: 昭和40年3月5日 / 結論: 棄却
株券発行前になされた株式の譲渡は、会社設立後、通常、株券を発行しうる合理的期間経過後になされた場合であつても、会社に対してその効力を生じない。