刑訴法435条6号の証拠の明白性を否定した原判断が是認された事例(いわゆる福井女子中学生殺人事件)
刑訴法435条6号,刑訴法447条
判旨
再審請求における新証拠の明白性について、原審がこれを否定して再審請求を棄却した判断は、正当として是認される。
問題の所在(論点)
刑事訴訟法435条6号の再審事由である「無罪を言い渡すべき明らかな証拠」の存否、および原決定における証拠の明白性の判断に不合理な点があるか。
規範
刑事訴訟法435条6号にいう「証拠が明白であることを示すとき」とは、確定判決の事実認定に合理的疑いを生じさせるに足りる証拠であることを要する(白鳥事件・財田川事件判決の法理を前提とする)。
重要事実
申立人らは、確定判決の事実認定を覆すための新証拠を提出して再審請求を行ったが、原決定は当該新証拠には確定判決を覆すに足りる明白性がないと判断し、再審請求を棄却した。これに対し、申立人らが判例違反や憲法違反、事実誤認を理由として特別抗告を申し立てた事案である。
あてはめ
最高裁判所は、申立人らが提出した新証拠の明白性を否定した原判断を検討し、特段の不合理な点は認められず正当であると判断した。抗告理由として挙げられた判例違反は事案を異にするものであり、憲法違反や事実誤認の主張も実質的には単なる事実争いにすぎず、刑訴法433条の抗告理由には該当しないと評価される。
事件番号: 昭和54(し)109 / 裁判年月日: 昭和55年12月11日 / 結論: 棄却
本件事案(原判文参照)につき請求人提出にかかる証拠の新規性及び明白性を認めて再審請求を認容すべきものとした原決定の判断は、是認することができる。
結論
本件新証拠には確定判決の事実認定を覆すに足りる明白性が認められないため、再審請求を棄却した原決定は正当であり、本件各抗告を棄却する。
実務上の射程
本決定は、再審請求における新証拠の明白性判断について、原審の裁量を是認した事例である。司法試験においては、再審の開始要件(435条6号)に関する「明白性」の意義(白鳥・財田川基準)を論述する際の、具体的なあてはめ判断の帰結を確認する資料として機能する。
事件番号: 平成27(し)587 / 裁判年月日: 平成29年12月25日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】再審請求における「無罪を言い渡すべき明らかな証拠」(刑訴法435条6号)の判断に際し、確定判決の主要な供述を翻す新供述が提出された場合は、その変遷の経緯、内容の合理性、及び確定判決を支えた他の客観的証拠との整合性を慎重に吟味すべきであり、これらを欠く新供述は「明白な証拠」に当たらない。 第1 事案…
事件番号: 昭和58(し)2 / 裁判年月日: 昭和62年2月5日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑事訴訟法435条6号にいう「無罪を言い渡すべき明らかな証拠」に当たらないとした原決定の判断を、正当として是認したものである。 第1 事案の概要:申立人は、確定判決に対する再審請求を行い、その根拠として刑訴法435条6号所定の「無罪を言い渡すべき明らかな証拠」にあたる新証拠を提出した。しかし、原審…
事件番号: 平成7(し)75 / 裁判年月日: 平成11年3月9日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】再審請求において提出された新証拠について、その明白性を否定して再審請求を棄却した原決定の判断は正当である。特別抗告における憲法違反や判例違反の主張が実質的に事実誤認や単なる法令違反にすぎない場合は、適法な抗告理由に当たらない。 第1 事案の概要:申立人は、確定判決に対する再審請求を行い、その際に新…
事件番号: 昭和63(し)28 / 裁判年月日: 平成4年9月9日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】再審請求において提出された新証拠の新規性または明白性が否定される場合には、刑訴法435条6号に規定する再審事由を欠くものとして、再審請求を棄却すべきである。 第1 事案の概要:抗告人(再審請求人)は、確定判決に対する再審を請求し、その根拠として複数の証拠を提出した。原決定は、これらの証拠について検…