平成25年7月21日施行の参議院議員通常選挙当時において,公職選挙法14条,別表第3の参議院(選挙区選出)議員の議員定数配分規定の下で,選挙区間における投票価値の不均衡は平成24年法律第94号による改正後も違憲の問題が生ずる程度の著しい不平等状態にあったが,上記選挙までの間に更に上記規定の改正がされなかったことをもって国会の裁量権の限界を超えるものとはいえず,上記規定が憲法14条1項等に違反するに至っていたということはできない。 (補足意見及び反対意見がある。)
公職選挙法14条,別表第3の参議院(選挙区選出)議員の議員定数配分規定の合憲性
憲法14条1項,憲法15条1項,憲法15条3項,憲法43条1項,憲法44条,公職選挙法14条,公職選挙法別表第3
判旨
平成25年施行の参議院議員通常選挙の定数配分規定は、最大較差4.77倍という著しい不平等状態にあったが、平成24年大法廷判決から9か月という短期間で抜本的改正を了することは困難であり、国会が是正に向けた取組を継続していた等の事情に照らせば、裁量権の限界を超えたとまではいえず、憲法に違反しない。
問題の所在(論点)
都道府県を単位として各選挙区を画定し、定数を偶数配分する仕組みの下で生じた、投票価値の不均衡(最大較差4.77倍)は、憲法14条1項等に違反し、本件選挙を無効とするか。
規範
憲法は投票価値の平等を要求するが、選挙制度の決定は国会の裁量に委ねられる。参議院議員選挙(選挙区選出)の定数配分規定が憲法に違反するかは、①投票価値の著しい不平等状態(違憲状態)が生じているか、②これを是正しないことが国会の裁量権の限界を超えるか、により判断する。後者の判断に際しては、単に期間の長短のみならず、是正に要する検討事項、手続、作業、国会の取組状況等の諸般の事情を総合考慮すべきである。
重要事実
本件(平成25年)選挙当時の最大較差は4.77倍で、依然として5倍前後の水準であった。国会は、平成24年大法廷判決(5.00倍を違憲状態と判示)を受け、暫定的な「4増4減」の改正を実施し、附則に平成28年選挙に向けた「抜本的見直し」を規定した。本件選挙は同判決から約9か月後に施行されたが、その間、参議院の検討機関では合区を含む抜本的改革案が検討され、工程表も示されていた。
あてはめ
まず、都道府県を単位とする現行方式の維持はもはや較差是正を著しく困難にしており、4.77倍という不均衡は看過し得ない「著しい不平等状態」にある。しかし、違憲判決に至るには合理的期間内の是正遅滞が必要である。平成24年大法廷判決から本件選挙までの約9か月という期間は、高度に政治的な判断を要する「仕組み自体の見直し」を完了するには極めて短い。また、国会が改正法附則で抜本改革を宣明し、検討会等で具体的な合区案の協議を進めていたことは、司法の判断を尊重した相当な取組といえる。したがって、本件選挙までに更なる改正がなされなかったことが裁量権の限界を超えたとはいえない。
結論
本件定数配分規定は憲法に違反するに至っていたとはいえず、選挙は有効である(原告らの請求棄却)。
実務上の射程
参議院選挙の都道府県単位の選挙区制が「違憲状態」であると明確に位置づけつつも、是正期間の合理性を広く認めて「違憲」を回避した。これにより、次回の平成28年選挙までに合区等の抜本的改革を行うことを立法府に強く促す「警告」としての役割を果たした。
事件番号: 平成23(行ツ)64 / 裁判年月日: 平成24年10月17日 / 結論: 破棄自判
公職選挙法14条,別表第3の参議院(選挙区選出)議員の議員定数配分規定の下で,平成22年7月11日施行の参議院議員通常選挙当時,選挙区間における投票価値の不均衡は違憲の問題が生ずる程度の著しい不平等状態に至っていたが,上記選挙までの間に上記規定を改正しなかったことが国会の裁量権の限界を超えるものとはいえず,上記規定が憲…