死刑の量刑が維持された事例(宮崎家族3人殺害事件)
判旨
死刑選択の当否が争われた事案において、犯行の計画性、態様(執拗性・残虐性)、結果の重大性(3名殺害)、及び身勝手な動機を重視し、被告人の境遇への同情の余地や前科がない等の酌量要素を考慮しても、死刑を維持した原判決を是認した事例。
問題の所在(論点)
死刑選択の指標(永山基準)に照らし、本件の犯行態様、動機、結果の重大性、社会的影響、及び被告人の諸事情を総合考慮したとき、死刑の選択がやむを得ないといえるか。
規範
死刑の選択にあたっては、犯行の性質、動機、態様、特に殺意の強固さや執拗さ、残虐性、結果の重大性、特に殺害された被害者の数、遺族の処罰感情、社会的影響、被告人の年齢、前科、犯行後の情状等、すべての事情を併せ考慮し、罪責が誠に重大であって、罪罰の均衡、一般予防の見地からもやむを得ない場合に認められる。
重要事実
被告人は、同居する義母の執拗かつ激しい非難から逃れるため、義母を殺害し、逮捕を免れるために妻を、さらに妻と一体であるとして生後5か月の長男をも殺害した。被告人は数日前に計画を立て、職場からハンマーを持ち出した。長男には絞首後に水没させる等の残虐な方法を用い、妻と義母に対してはハンマーで頭蓋骨を粉砕するまで執拗に殴打し、強固な殺意に基づき殺害した。事後、強盗を装う工作を行い、長男の死体を遺棄した。
あてはめ
まず、被害者が3名に及ぶ結果は極めて重大である。態様について、幼児の頸部を絞め水没させる、あるいはハンマーで頭蓋骨を粉砕する等の行為は執拗かつ残虐であり、確定的で強固な殺意が認められる。動機についても、義母の言動に同情の余地はあるものの、自由を得るために家族全員を殺害する点は極めて短絡的かつ身勝手である。計画性や犯行後の隠蔽工作も認められ、罪質は極めて悪質といえる。被告人に前科がなく反省を示している等の情状を考慮しても、責任の重大性は軽減されない。
事件番号: 平成26(あ)477 / 裁判年月日: 平成28年4月26日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】3名の生命を奪った強盗殺人、死体遺棄被告事件において、犯行に至る動機に被害者からの暴力等の酌むべき事情があるとしても、犯行を主導し冷酷な態様で殺害を実行した責任は極めて重大であり、自首等の事情を考慮しても死刑の選択はやむを得ない。 第1 事案の概要:被告人は、勤務先の会長親子から長年暴力を受け拘束…
結論
被告人の刑事責任は誠に重大であり、死刑に処した第一審判決を維持した原判断は、当裁判所も是認せざるを得ない。
実務上の射程
判決文からは不明(死刑選択基準に関する一般的なあてはめの例示として機能する)。
事件番号: 平成24(あ)646 / 裁判年月日: 平成26年9月2日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】3名を殺害した強盗殺人等の事案において、被告人が動機等に酌むべき事情を有し従属的な立場にあったとしても、犯行の重要かつ不可欠な役割を果たし結果が極めて重大であるときは、死刑の選択はやむを得ない。 第1 事案の概要:被告人は、日常的に暴力を受けていた勤務先の会長らに対し恨みを抱く同僚Aに同調し、Aら…
事件番号: 平成17(あ)1840 / 裁判年月日: 平成21年6月5日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑制度は、その執行方法を含めて憲法13条、31条、36条に違反せず、極めて重大な罪責を負う犯行については、前科がない等の事情を考慮しても死刑の適用が是認される。 第1 事案の概要:被告人A及びBは、共同して犬の繁殖販売業を営んでいた。両名は共謀の上、トラブル等があった被害者3名に対し、猛毒の硝酸…
事件番号: 平成14(あ)317 / 裁判年月日: 平成18年2月14日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑制度は憲法13条、31条、36条に違反せず、2名の生命を奪った計画的かつ残忍な犯行において、被告人の役割が中心的であれば、酌むべき情状を考慮しても死刑を選択することはやむを得ない。 第1 事案の概要:被告人は共謀の上、(1)知人男性を車内で絞殺して死体をコンクリートで固めて遺棄し、(2)その2…
事件番号: 平成6(あ)1024 / 裁判年月日: 平成10年12月1日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】半年余りの間に3名の命を奪った結果は極めて重大であり、犯行態様が冷酷、残忍かつ非情であって、遺族の被害感情も極めて厳しい等の事情がある場合には、被告人に有利な事情を考慮しても死刑の科刑はやむを得ない。 第1 事案の概要:被告人は、共犯者と共に借金トラブルからBを殺害・遺棄し、その後、共犯者の父Dか…