死刑事件(妙義山連続殺人事件)
判旨
半年余りの間に3名の命を奪った結果は極めて重大であり、犯行態様が冷酷、残忍かつ非情であって、遺族の被害感情も極めて厳しい等の事情がある場合には、被告人に有利な事情を考慮しても死刑の科刑はやむを得ない。
問題の所在(論点)
殺害された被害者が3名に及び、犯行態様が極めて非情である事案において、被告人の反省や前科がないこと等の有利な事情を考慮しても、死刑を選択することが刑訴法411条(判決後の刑の変更)を適用すべき著しい不当な量刑にあたるか。
規範
死刑の選択については、犯行の罪質、動機、態様(特に殺害方法の冷酷さや残虐性)、結果の重大性(殺害された被害者の数)、遺族の被害感情、社会的影響、被告人の前科、犯行後の情状等を総合的に考慮し、その罪責が誠に重大であって、罪罰の均衡及び一般予防の見地からやむを得ない場合に認められる(永山基準の踏襲)。
重要事実
被告人は、共犯者と共に借金トラブルからBを殺害・遺棄し、その後、共犯者の父Dから窃盗等の追及を受けるとDを撲殺した。さらに、その場にいた共犯者の子Cに対し、自ら掘らせた穴に父Dを埋めさせようとしたところで、口封じのためCをスコップで撲殺し、父子を同じ穴に埋めた。約半年の間に計3名を殺害した事案である。
あてはめ
まず、半年余りで3名の命を奪った結果は極めて重大である。動機に酌量の余地はなく、特にCに対する殺人は、父親を埋めさせようとしている最中に背後から撲殺するという非情極まりない態様である。遺族の被害感情や社会的影響も重大である。これに対し、被告人が反省していること、一部被害を弁償したこと、罰金以外の前科がないこと等の有利な事情を十分に考慮しても、罪責は誠に重大といえる。
結論
事件番号: 平成13(あ)803 / 裁判年月日: 平成17年7月8日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑の量刑判断にあたっては、犯罪の性質、動機、態様、結果の重大性、遺族の被害感情、社会的影響、犯人の年齢、前科、犯行後の情状を総合的に考慮し、罪責が極めて重大で、やむを得ない場合に認められる。 第1 事案の概要:被告人は昭和60年から平成7年にかけ、5名の女性・女児を殺害した。内訳は、情交関係にあ…
本件各犯行の罪質及び情状に照らせば、第一審の死刑判決を維持した原判決の判断は、やむを得ないものとして是認できる。
実務上の射程
被害者が3名に達する事案において、死刑選択の妥当性を肯定した事例。永山基準(最判昭58.7.8)の枠組みを前提としつつ、犯行態様の残虐性・非情さ(本件では実子に親を埋めさせている最中に殺害)が、有利な情状を凌駕する重い評価要素となることを示している。
事件番号: 昭和60(あ)215 / 裁判年月日: 平成2年10月16日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】極刑を選択するに当たっては、犯行の態様が残虐であること、殺害された被害者の数等の結果が重大であること、及び遺族の被害感情が深刻であること等を総合的に考慮し、その刑責が誠に重大であると認められる場合には死刑の選択も許容される。 第1 事案の概要:被告人は金策のために知人A方を訪れたが、話のもつれから…
事件番号: 昭和56(あ)341 / 裁判年月日: 昭和59年4月27日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑の選択に際しては、犯行の罪質、動機、態様、結果の重大性、遺族の被害感情、社会的影響、犯人の年齢、前科、犯行後の情状の9項目を総合考慮し、罪責が誠に重大で、極刑がやむを得ないと認められる場合に許される。いわゆる永山基準を示し、死刑の適用基準を明確化した。 第1 事案の概要:被告人A及びBは、金銭…
事件番号: 平成1(あ)42 / 裁判年月日: 平成7年6月8日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑の選択に際しては、罪質、動機、態様(殊に殺害の手段方法)、結果の重大性、遺族の被害感情、社会的影響、犯人の年齢、前科、犯行後の情状等を総合的に考慮し、その責任が極めて重大であって罪刑の均衡等の見地からやむを得ないと認められる場合に許される。 第1 事案の概要:被告人は、前刑の執行猶予取消しを恐…