死刑事件(山梨・新潟連続殺人事件)
判旨
死刑の選択に際しては、罪質、動機、態様(殊に殺害の手段方法)、結果の重大性、遺族の被害感情、社会的影響、犯人の年齢、前科、犯行後の情状等を総合的に考慮し、その責任が極めて重大であって罪刑の均衡等の見地からやむを得ないと認められる場合に許される。
問題の所在(論点)
刑法199条に基づく死刑の選択が、憲法31条、36条および刑事訴訟法411条2号(量刑不当)の観点から、どのような判断基準の下で是認されるか。
規範
死刑の適用については、犯行の罪質、動機、態様(特に殺害の手段・方法)、結果の重大性(殺害された被害者の数)、遺族の被害感情、社会的影響、被告人の年齢、前科、犯行後の情状を総合考慮し、その罪責が誠に重大であって、極刑の選択がやむを得ないといえる場合に限り認められる(永山基準の枠組みを維持)。
重要事実
被告人は、前刑の執行猶予取消しを恐れて指名手配中と思い込み、元妻の所在を追及するため、その伯母(当時73歳)の両手足を緊縛して浴槽に沈めて殺害し、床下に遺棄した。その数日後、元妻との逃亡資金を得るために知人男性を呼び出し、金銭を奪った上で、第一の殺人が露見することを恐れ、抵抗しない同人を同様に浴槽に沈めて殺害し、ベッド下に遺棄した。被告人には恵まれない生い立ちや反省の情が認められた。
あてはめ
まず、動機については元妻への執着や自己の保身、逃亡資金の確保という身勝手なものであり、酌量の余地はない。態様については、無抵抗の被害者を浴槽に沈めて溺死させるという冷酷かつ残虐な手法であり、殺意の強固さが認められる。結果については、わずか6日の間に2人の尊い人命を奪っており極めて重大である。また、何の落ち度もない被害者の遺族感情も極めて峻烈である。これらの事情を総合すると、被告人の生い立ちや反省等の情状を十分考慮しても、その罪責は誠に重大であり、罪刑均衡の見地から死刑は免れない。
事件番号: 平成13(あ)803 / 裁判年月日: 平成17年7月8日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑の量刑判断にあたっては、犯罪の性質、動機、態様、結果の重大性、遺族の被害感情、社会的影響、犯人の年齢、前科、犯行後の情状を総合的に考慮し、罪責が極めて重大で、やむを得ない場合に認められる。 第1 事案の概要:被告人は昭和60年から平成7年にかけ、5名の女性・女児を殺害した。内訳は、情交関係にあ…
結論
本件各犯行の罪質、動機、態様、結果の重大性等に照らせば、原判決が維持した第一審判決の死刑の科刑は、当裁判所もこれを是認せざるを得ない。
実務上の射程
本判決は、いわゆる「永山基準」を再確認し、特に被害者が複数(2名)で、かつ犯行態様が冷酷な事案において死刑が維持される実務上の重要な指針となる。答案上は、殺害人数だけでなく、動機の非道性や殺害方法の残虐性を具体的事実から抽出して、責任の重大性を論証する際のモデルとなる。
事件番号: 昭和56(あ)341 / 裁判年月日: 昭和59年4月27日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑の選択に際しては、犯行の罪質、動機、態様、結果の重大性、遺族の被害感情、社会的影響、犯人の年齢、前科、犯行後の情状の9項目を総合考慮し、罪責が誠に重大で、極刑がやむを得ないと認められる場合に許される。いわゆる永山基準を示し、死刑の適用基準を明確化した。 第1 事案の概要:被告人A及びBは、金銭…
事件番号: 平成13(あ)1162 / 裁判年月日: 平成17年1月27日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑の選択が許容されるか否かは、永山事件判決(最判昭58.7.8)の示した9つの判断要素を総合考慮して決定されるべきであり、本件においても、犯行の性質、動機、態様、結果の重大性、遺族の被害感情、社会的影響、犯人の年齢、前科、犯行後の情況を慎重に検討した結果、死刑の選択はやむを得ない。 第1 事案の…
事件番号: 平成6(あ)1024 / 裁判年月日: 平成10年12月1日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】半年余りの間に3名の命を奪った結果は極めて重大であり、犯行態様が冷酷、残忍かつ非情であって、遺族の被害感情も極めて厳しい等の事情がある場合には、被告人に有利な事情を考慮しても死刑の科刑はやむを得ない。 第1 事案の概要:被告人は、共犯者と共に借金トラブルからBを殺害・遺棄し、その後、共犯者の父Dか…