死刑の量刑が維持された事例(茨城の同級生連続殺人事件)
判旨
死刑の選択が許容されるか否かは、永山事件判決(最判昭58.7.8)の示した9つの判断要素を総合考慮して決定されるべきであり、本件においても、犯行の性質、動機、態様、結果の重大性、遺族の被害感情、社会的影響、犯人の年齢、前科、犯行後の情況を慎重に検討した結果、死刑の選択はやむを得ない。
問題の所在(論点)
死刑選択の許容性(刑法9条、11条、刑事訴訟法411条2号)。特に、被害者が2名である事案において、被告人の若年性や供託等の有利な事情を考慮してもなお、死刑を選択することが社会通念上やむを得ないといえるか。
規範
死刑制度は憲法に違反しない。死刑の選択にあたっては、①犯行の性質、②動機、③態様(特に殺害方法の執拗性・残虐性)、④結果の重大性(特に殺害された被害者の数)、⑤遺族の被害感情、⑥社会的影響、⑦犯人の年齢、⑧前科、⑨犯行後の情況を併せ考察し、その罪責が誠に重大であって、罪刑の均衡の見地からも一般予防の見地からも極めてやむを得ないといえる場合に、死刑が選択される。
重要事実
被告人(当時21歳)は、約1か月余りの間に、かつての同級生2名を相次いで殺害した。動機は、死体を隠匿した上で被害者に窃盗・放火の濡れ衣を着せ、その親から金を喝取しようという強欲なものであった。殺害態様は、1名に対しては出刃包丁で後頸部を切断し、もう1名に対しては共犯者に抑え込ませた上で絞殺するという残虐かつ冷酷なものであった。犯行後も計画通りに恐喝行為を継続しており、犯意は強固であった。他方、被告人は若年であり、母親が被害者遺族に対し計1200万円を供託するなどの慰謝の措置も講じられていた。
あてはめ
まず、犯行の性質・動機について、利欲目的で知人を殺害し、さらに死者に罪をなすりつけて親から金を奪おうとした点は、極めて悪質かつ非道である。次に、殺害態様も、首の切断や窒息死など確定的な殺意に基づき残虐に実行されており、計画性も認められる。結果の重大性については、2名の尊い生命が奪われた事実は重い。遺族の処罰感情も峻烈であり、社会に与えた衝撃も大きい。被告人が21歳と若年であることや、母親による供託等の事情は認められるものの、これらを十分考慮したとしても、本件の犯行の極悪性や罪責の重大性に鑑みれば、死刑を回避すべき決定的な事情とはいえない。
事件番号: 平成13(あ)803 / 裁判年月日: 平成17年7月8日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑の量刑判断にあたっては、犯罪の性質、動機、態様、結果の重大性、遺族の被害感情、社会的影響、犯人の年齢、前科、犯行後の情状を総合的に考慮し、罪責が極めて重大で、やむを得ない場合に認められる。 第1 事案の概要:被告人は昭和60年から平成7年にかけ、5名の女性・女児を殺害した。内訳は、情交関係にあ…
結論
被告人の刑事責任は極めて重大であり、一審の死刑判決を維持した原判決に違法はなく、死刑の選択はやむを得ない。
実務上の射程
被害者が2名の事案において、永山基準を適用し、犯行の残虐性や動機の非道性が顕著であれば、被告人の若年性や一定の被害回復(供託等)があっても死刑が維持されることを示した事例。
事件番号: 昭和59(あ)512 / 裁判年月日: 昭和63年4月15日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑の適用は、犯罪の罪質、動機、態様、結果の重大性、遺族の被害感情、社会的影響、犯人の年齢、前科、犯行後の情況等の諸要素を総合考慮し、その責任が極めて重大であって、罪刑均衡及び一般予防の見地からやむを得ないと認められる場合に許される。本件では、金銭目的の計画的かつ非道な犯行であること、遺体の損壊・…
事件番号: 平成6(あ)420 / 裁判年月日: 平成11年6月25日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑の選択が許容されるか否かは、犯行の性質、動機、態様、結果の重大性、遺族の被害感情、社会的影響、犯人の年齢、前科、犯行後の情状等を総合的に考慮し、その罪責が極めて重大であって、罪刑の均衡および一般予防の見地からやむを得ない場合に限られる。 第1 事案の概要:被告人は、妻の実姉を絞殺して死体を遺棄…
事件番号: 平成1(あ)42 / 裁判年月日: 平成7年6月8日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑の選択に際しては、罪質、動機、態様(殊に殺害の手段方法)、結果の重大性、遺族の被害感情、社会的影響、犯人の年齢、前科、犯行後の情状等を総合的に考慮し、その責任が極めて重大であって罪刑の均衡等の見地からやむを得ないと認められる場合に許される。 第1 事案の概要:被告人は、前刑の執行猶予取消しを恐…
事件番号: 平成3(あ)476 / 裁判年月日: 平成10年4月23日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑の選択については、犯行の性質、動機、態様、結果の重大性、遺族の被害感情、社会的影響、犯人の年齢、前科、犯行後の情状などの諸要素を総合的に考慮し、罪責が誠に重大であって極刑がやむを得ない場合に認められる。 第1 事案の概要:被告人は、金目的で共犯者らと共謀し、同級生Aを誘拐。当初から殺害を計画し…