死刑事件(同級生誘拐殺人事件)
991-03-26
判旨
死刑の選択については、犯行の性質、動機、態様、結果の重大性、遺族の被害感情、社会的影響、犯人の年齢、前科、犯行後の情状などの諸要素を総合的に考慮し、罪責が誠に重大であって極刑がやむを得ない場合に認められる。
問題の所在(論点)
刑法199条等に基づく死刑の選択が、被告人の年齢(若年)や成育環境、反省の態度等の情状を考慮してもなお、社会通念上やむを得ないものとして許容されるか。
規範
死刑の量刑が適当か否かは、①犯行の性質(計画性等)、②動機、③態様(残虐性等)、④結果の重大性(殺害人数等)、⑤被害感情、⑥社会的影響、⑦犯人の年齢、⑧前科、⑨犯行後の情状(反省の程度等)を総合考慮して判断する。特に、当初から殺害を計画した冷酷非情な犯行であり、主導的な立場で結果も重大な場合には、被告人の年齢や成育環境等の有利な事情を考慮しても、死刑の選択はやむを得ない(いわゆる永山基準の枠組みを維持)。
重要事実
被告人は、金目的で共犯者らと共謀し、同級生Aを誘拐。当初から殺害を計画し、コンクリートブロックを投げ付ける等して残虐に殺害した。さらにAの生存を装い父親に5000万円を要求。また、同行していた女性を12日間にわたり監禁・強姦した。被告人は一連の犯行を主導する中心的役割を担っていた。
あてはめ
本件は利欲目的の計画的犯行であり、信頼していた被告人に助けを求める被害者を無視して殺害した態様は冷酷・残虐である(①②③)。結果は死者1名だが身の代金要求や監禁・強姦を含む等極めて重大である(④)。遺族の感情や社会への影響も大きい(⑤⑥)。被告人は主導的役割を果たしており、無期懲役となった年長の共犯者より責任が重い。被告人が若年で成育環境に同情の余地があり、反省を示しているという有利な事情(⑦⑨)を考慮しても、罪責の重大性は相殺されない。
事件番号: 昭和58(あ)479 / 裁判年月日: 昭和63年4月28日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑の選択に当たっては、罪質、動機、態様、結果の重大性、遺族の被害感情、社会的影響、犯人の年齢、前科、犯行後の情状を総合的に考慮し、その責任が極めて重大で、やむを得ない場合に限られる。 第1 事案の概要:被告人は遊興費による多額の借金返済等のため、親戚同様の付き合いをしていた家の14歳の娘を誘拐し…
結論
被告人の罪責は誠に重大であり、死刑を維持した原判決の量刑は、やむを得ないものとして是認される。
実務上の射程
死刑存置の合憲性を前提とした上で、永山基準(最判昭58.7.8)に基づく量刑判断の具体例を示す。殺害人数が1名であっても、犯行の計画性、残虐性、身の代金目的、主導的役割といった悪質性が顕著な場合には、極刑が維持され得ることを示す射程を持つ。
事件番号: 平成4(あ)1067 / 裁判年月日: 平成10年9月4日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】金銭欲のために計画的かつ連続して誘拐殺人を敢行し、その結果が極めて重大で社会に与えた影響も深刻な場合、前科がない等の事情を考慮しても死刑の選択はやむを得ない。 第1 事案の概要:被告人は、借金返済と遊興費獲得のため、若い女性を誘拐して殺害し家族から身の代金を奪おうと計画した。まず女子高校生(18歳…
事件番号: 昭和58(あ)208 / 裁判年月日: 昭和62年7月9日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑の選択に際しては、犯罪の性質、動機、態様、結果の重大性、遺族の被害感情、社会的影響、犯人の年齢、前科、犯行後の情状を総合的に考慮し、極めて重大な罪責を免れない場合に認められる。 第1 事案の概要:被告人は、借金返済のため女子学生(当時22歳)を誘拐して殺害し、その家族から3000万円を奪取しよ…
事件番号: 平成13(あ)803 / 裁判年月日: 平成17年7月8日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑の量刑判断にあたっては、犯罪の性質、動機、態様、結果の重大性、遺族の被害感情、社会的影響、犯人の年齢、前科、犯行後の情状を総合的に考慮し、罪責が極めて重大で、やむを得ない場合に認められる。 第1 事案の概要:被告人は昭和60年から平成7年にかけ、5名の女性・女児を殺害した。内訳は、情交関係にあ…
事件番号: 平成13(あ)1162 / 裁判年月日: 平成17年1月27日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑の選択が許容されるか否かは、永山事件判決(最判昭58.7.8)の示した9つの判断要素を総合考慮して決定されるべきであり、本件においても、犯行の性質、動機、態様、結果の重大性、遺族の被害感情、社会的影響、犯人の年齢、前科、犯行後の情況を慎重に検討した結果、死刑の選択はやむを得ない。 第1 事案の…