死刑の量刑が維持された事例(大阪の女性5人殺害等事件)
判旨
死刑の量刑判断にあたっては、犯罪の性質、動機、態様、結果の重大性、遺族の被害感情、社会的影響、犯人の年齢、前科、犯行後の情状を総合的に考慮し、罪責が極めて重大で、やむを得ない場合に認められる。
問題の所在(論点)
死刑という極刑を選択する際の量刑判断の枠組み(いわゆる永山基準の適用)と、複数の殺人および死体損壊、身代金要求等の罪責を総合した死刑適用の妥当性。
規範
死刑の適用は、犯罪の性質、動機、態様(特に殺害方法の執拗性・残虐性)、結果の重大性(特に殺害された被害者の数)、遺族の被害感情、社会的影響、犯人の年齢、前科、犯行後の情状を併せ考察し、その罪責が誠に重大であって、罪罰の均衡の見地からも一般予防の見地からも極めてやむを得ない場合に許される。
重要事実
被告人は昭和60年から平成7年にかけ、5名の女性・女児を殺害した。内訳は、情交関係にあった女性2名が反抗的態度を示したことに立腹しての殺害、わいせつ目的で誘拐した9歳女児の口封じのための殺害(及び身代金要求)、さらに服役後にも同様の動機で女性2名を殺害し死体を損壊・遺棄したものである。被告人は捜査段階で自白し反省の態度を示していたが、短絡的な動機で凶行を繰り返していた。
あてはめ
まず犯行態様は、首を絞めて殺害し、後の事件では死体を切断するなど非情かつ残虐である。結果についても、計5名の尊い生命を奪った事実は極めて重く、特に9歳女児を殺害しつつ身代金を要求した所為は冷酷・卑劣である。動機は自己中心的で酌量の余地がない。また、2度の服役という矯正教育の機会がありながら更生せず、同様の重大犯罪を重ねていることから、人命尊重の念が欠如している。捜査段階の自白等の有利な事情を考慮しても、罪責は誠に重大であるといわざるを得ない。
結論
事件番号: 平成13(あ)1205 / 裁判年月日: 平成18年1月17日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】極めて残虐かつ計画的な犯行により4名の女児を殺害し、社会に甚大な衝撃を与えた事案において、被告人の身体的障害等の酌むべき事情を考慮しても、死刑の選択は免れない。 第1 事案の概要:被告人は、昭和63年から平成元年にかけ、自己の性的欲求や収集欲を満たすため、4歳から7歳の女児5名を誘拐。うち4名を山…
本件各罪に対し被告人を死刑に処した第1審判決を維持した原判断は、やむを得ないものとして是認される。
実務上の射程
最高裁昭和58年判決(永山基準)を再確認し、特に「被害者数(5名)」の多さと、前科(服役経験)がありながら犯行を繰り返した「再犯性・改善不能性」を重く評価する際の典型例として機能する。
事件番号: 平成1(あ)42 / 裁判年月日: 平成7年6月8日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑の選択に際しては、罪質、動機、態様(殊に殺害の手段方法)、結果の重大性、遺族の被害感情、社会的影響、犯人の年齢、前科、犯行後の情状等を総合的に考慮し、その責任が極めて重大であって罪刑の均衡等の見地からやむを得ないと認められる場合に許される。 第1 事案の概要:被告人は、前刑の執行猶予取消しを恐…
事件番号: 平成13(あ)1162 / 裁判年月日: 平成17年1月27日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑の選択が許容されるか否かは、永山事件判決(最判昭58.7.8)の示した9つの判断要素を総合考慮して決定されるべきであり、本件においても、犯行の性質、動機、態様、結果の重大性、遺族の被害感情、社会的影響、犯人の年齢、前科、犯行後の情況を慎重に検討した結果、死刑の選択はやむを得ない。 第1 事案の…
事件番号: 昭和58(あ)479 / 裁判年月日: 昭和63年4月28日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑の選択に当たっては、罪質、動機、態様、結果の重大性、遺族の被害感情、社会的影響、犯人の年齢、前科、犯行後の情状を総合的に考慮し、その責任が極めて重大で、やむを得ない場合に限られる。 第1 事案の概要:被告人は遊興費による多額の借金返済等のため、親戚同様の付き合いをしていた家の14歳の娘を誘拐し…
事件番号: 平成3(あ)476 / 裁判年月日: 平成10年4月23日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑の選択については、犯行の性質、動機、態様、結果の重大性、遺族の被害感情、社会的影響、犯人の年齢、前科、犯行後の情状などの諸要素を総合的に考慮し、罪責が誠に重大であって極刑がやむを得ない場合に認められる。 第1 事案の概要:被告人は、金目的で共犯者らと共謀し、同級生Aを誘拐。当初から殺害を計画し…