死刑の量刑が維持された事例(連続幼女誘拐殺人事件)
判旨
極めて残虐かつ計画的な犯行により4名の女児を殺害し、社会に甚大な衝撃を与えた事案において、被告人の身体的障害等の酌むべき事情を考慮しても、死刑の選択は免れない。
問題の所在(論点)
死刑の選択が許容される基準(死刑量刑の妥当性)、および精神障害等の背景事情がある場合の責任能力・情状評価の在り方。
規範
死刑選択の可否は、犯行の性質、動機、態様(特に殺害方法の執拗さ・残虐性)、結果の重大性(特に殺害された被害者の数)、遺族の被害感情、社会的影響、犯行後の情状、被告人の前科、年齢等を総合的に考慮し、罪責が極めて重大であって、罪罰の均衡及び一般予防の観点からやむを得ない場合に認められる(永山基準の踏襲)。
重要事実
被告人は、昭和63年から平成元年にかけ、自己の性的欲求や収集欲を満たすため、4歳から7歳の女児5名を誘拐。うち4名を山中等で絞殺し、死体損壊・遺棄に及んだ。犯行は回を追うごとに計画性を強め、殺害後に遺体とわいせつな行為を撮影したり、被害者家族に遺骨や犯行声明文を送り付ける等の特異な行動もみられた。弁護人は先天性障害等の事情を主張したが、一審・二審ともに死刑を維持した。
あてはめ
まず、動機は性的欲求等の自己中心的かつ非道なもので酌量の余地がない。態様も、無抵抗な幼女を絞殺する冷酷かつ残忍なものである。結果として4名もの尊い命が失われたことは極めて重大である。さらに、遺骨を家族に送る等の犯行後の行動は社会に甚大な衝撃を与え、遺族の感情も峻烈である。被告人の身体的障害や前科がないこと、母親による一部被害弁済等の有利な事情を考慮しても、犯行の凶悪性・重大性に照らせば刑事責任は極めて重大であり、死刑は免れない。
結論
事件番号: 平成13(あ)803 / 裁判年月日: 平成17年7月8日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑の量刑判断にあたっては、犯罪の性質、動機、態様、結果の重大性、遺族の被害感情、社会的影響、犯人の年齢、前科、犯行後の情状を総合的に考慮し、罪責が極めて重大で、やむを得ない場合に認められる。 第1 事案の概要:被告人は昭和60年から平成7年にかけ、5名の女性・女児を殺害した。内訳は、情交関係にあ…
本件各犯行の罪責は極めて重大であり、被告人に有利な情状を十分に考慮したとしても、原判決の死刑の科刑は正当として是認せざるを得ない。
実務上の射程
多数の児童を対象とした連続殺人事件における量刑判断の典型例。身体的障害等の成育環境に関する事情よりも、犯行態様の残虐性や結果の重大性を重視する実務の傾向を示す。また、死刑制度の合憲性についても過去の判例を引用し簡潔に再確認している。
事件番号: 昭和60(あ)1497 / 裁判年月日: 平成4年2月18日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑の選択については、犯行の罪質、動機、態様、結果の重大性、遺族の被害感情、社会的影響、被告人の前科等を総合考慮し、その罪責が極めて重大であって、やむを得ない場合に認められる。無期懲役の仮出獄中に同種の幼女殺害に及んだ本件では、計画性の欠如や反省等の事情を考慮しても、死刑の科刑は是認される。 第1…
事件番号: 平成29(あ)605 / 裁判年月日: 令和元年7月1日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】殺害の計画性が認められず、かつ生命侵害の前科がない1名殺害の事案において、死刑の選択が真にやむを得ないとはいえないとした事例。 第1 事案の概要:被告人は、当時6歳の被害者をわいせつ目的で誘拐し、ビニールロープで絞首した上、包丁で後頸部を複数回突き刺して殺害した。さらに遺体を切断して損壊・遺棄した…
事件番号: 平成13(あ)1162 / 裁判年月日: 平成17年1月27日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑の選択が許容されるか否かは、永山事件判決(最判昭58.7.8)の示した9つの判断要素を総合考慮して決定されるべきであり、本件においても、犯行の性質、動機、態様、結果の重大性、遺族の被害感情、社会的影響、犯人の年齢、前科、犯行後の情況を慎重に検討した結果、死刑の選択はやむを得ない。 第1 事案の…