死刑事件(同性愛性癖者の殺人事件)
判旨
死刑の選択が許容されるか否かは、殺害された被害者の数、殺害の手段方法の残虐性、犯行後の行状等の諸般の情状を総合して考察し、被告人に有利な事情を参酌してもなおやむを得ないと認められる場合に判断される。
問題の所在(論点)
刑法199条(殺人罪)等の法定刑に基づき、死刑を選択することが社会通念上やむを得ないものとして許容されるか、その判断枠組みが問題となる。
規範
死刑の量刑判断にあたっては、①殺害の対象となった被害者の数、②殺害の手段・方法の残虐性、③犯行後の行状など、犯情に関する諸般の事情を総合的に考察すべきである。これらに加え、被告人の生活歴や性格といった被告人側の有利な事情をすべて参酌した上でも、極刑を選択することがやむを得ないと認められる場合には、死刑の選択が維持される。
重要事実
被告人は、小学校6年生と3年生の無抵抗な児童を、それぞれ機会を異にして殺害した。第一審判決は死刑を言い渡し、原判決(控訴審)もこれを維持した。被告人側は、事実誤認および被告人の生活歴や性格等の有利な事情を理由に量刑不当を訴え、上告した。
あてはめ
本件では、①被害者が小学校6年生と3年生という無抵抗な児童2名であり、かつ別個の機会に殺害されている点が極めて重大である。また、②殺害の手段方法に残虐性が認められ、③犯行後の行状も不良である。これらの犯情を総合すると、被告人の生活歴や性格といった被告人に有利な情状を最大限考慮したとしても、その罪責は極めて重い。したがって、第一審の死刑判決を維持した原判断は正当であると評価される。
結論
本件死刑判決の維持はやむを得ないものとして認められ、上告を棄却する。
事件番号: 平成13(あ)1205 / 裁判年月日: 平成18年1月17日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】極めて残虐かつ計画的な犯行により4名の女児を殺害し、社会に甚大な衝撃を与えた事案において、被告人の身体的障害等の酌むべき事情を考慮しても、死刑の選択は免れない。 第1 事案の概要:被告人は、昭和63年から平成元年にかけ、自己の性的欲求や収集欲を満たすため、4歳から7歳の女児5名を誘拐。うち4名を山…
実務上の射程
死刑の適用基準を示した永山事件判決(最判昭58.7.8)に先立ち、総合考慮の枠組みを示した事例である。答案上では、死刑選択の可否が争点となる場合に、被害者数や残虐性といった「犯情」を核としつつ、「被告人側の事情」を併せて総合評価する際の論理構成として活用できる。
事件番号: 平成13(あ)803 / 裁判年月日: 平成17年7月8日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑の量刑判断にあたっては、犯罪の性質、動機、態様、結果の重大性、遺族の被害感情、社会的影響、犯人の年齢、前科、犯行後の情状を総合的に考慮し、罪責が極めて重大で、やむを得ない場合に認められる。 第1 事案の概要:被告人は昭和60年から平成7年にかけ、5名の女性・女児を殺害した。内訳は、情交関係にあ…
事件番号: 昭和51(あ)1559 / 裁判年月日: 昭和52年12月20日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑制度は憲法36条の「残虐な刑罰」に当たらず、犯行の罪質、動機、態様、社会的影響の重大性等の諸事情に照らし、被告人に有利な事情を考慮しても死刑の選択がやむを得ないと認められる場合には、死刑の科刑は正当として是認される。 第1 事案の概要:被告人は、登校中の児童を略取して殺害し、さらにその親族に対…
事件番号: 平成13(あ)1162 / 裁判年月日: 平成17年1月27日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑の選択が許容されるか否かは、永山事件判決(最判昭58.7.8)の示した9つの判断要素を総合考慮して決定されるべきであり、本件においても、犯行の性質、動機、態様、結果の重大性、遺族の被害感情、社会的影響、犯人の年齢、前科、犯行後の情況を慎重に検討した結果、死刑の選択はやむを得ない。 第1 事案の…
事件番号: 昭和49(あ)1733 / 裁判年月日: 昭和50年10月3日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑の科刑が許容されるか否かの判断においては、犯行の動機、態様、結果の重大性、被告人の役割、前科、被害者の感情、社会的影響等の諸般の情状を総合的に考慮し、その刑責が極めて重いといえる場合には、死刑の選択もやむを得ない。 第1 事案の概要:被告人は共犯者と共謀の上、強姦目的で男女を襲撃した。まず男性…