死刑事件(大阪電解幹部連続殺人事件)
判旨
死刑の選択に際しては、犯行の罪質、動機、態様、結果の重大性、遺族の被害感情、社会的影響、犯人の年齢、前科、犯行後の情状の9項目を総合考慮し、罪責が誠に重大で、極刑がやむを得ないと認められる場合に許される。いわゆる永山基準を示し、死刑の適用基準を明確化した。
問題の所在(論点)
死刑を選択するための判断基準(刑法199条の量刑判断)および、本件における死刑適用の妥当性。
規範
死刑は、刑の衡平の観点から、犯行の罪質、動機、態様(特に殺害方法の執拗性・残虐性)、結果の重大性(特に殺害された被害者の数)、遺族の処罰感情、社会的影響、犯人の年齢、前科、犯行後の情状を総合的に考慮し、その罪責が誠に重大であって、罪罰の均衡の点からも一般予防の見地からも極刑がやむを得ないと認められる場合に選択されるべきである。
重要事実
被告人A及びBは、金銭目的でAの勤務先の上司2名を殺害し、死体を遺棄した。両名は綿密な計画に基づき、車内で被害者らを絞殺。被害者らは落ち度のない一家の支柱であり、死体は埋立地に隠匿された。被告人両名は深く反省の意を示していたものの、第一審および控訴審は死刑を宣告したため、量刑不当を理由に上告した事案である。
あてはめ
まず、動機は金銭欲であり酌量の余地がない。態様は綿密な計画に基づき、命乞いをする被害者を2人がかりで絞殺し死体を遺棄するという冷酷かつ周到なものである。結果として2名の尊い命が失われており極めて重大である。遺族の被害感情は深刻で、社会に与えた影響も甚大である。被告人らの役割に軽重の差はなく、犯行後の反省等の情状を考慮しても、罪責は誠に重大といえる。
結論
被告人両名に対する死刑の科刑は、罪罰の均衡および一般予防の観点からやむを得ないものとして是認され、上告を棄却する。
事件番号: 平成1(あ)42 / 裁判年月日: 平成7年6月8日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑の選択に際しては、罪質、動機、態様(殊に殺害の手段方法)、結果の重大性、遺族の被害感情、社会的影響、犯人の年齢、前科、犯行後の情状等を総合的に考慮し、その責任が極めて重大であって罪刑の均衡等の見地からやむを得ないと認められる場合に許される。 第1 事案の概要:被告人は、前刑の執行猶予取消しを恐…
実務上の射程
死刑選択の際に検討すべき9つの考慮要素(永山基準)を提示したリーディングケースである。答案上は、特に「殺害された被害者の数」が重視される傾向にあるが、本判決が示す通り、動機や計画性、残虐性などの他要素も総合的に論じる必要がある。量刑判断の枠組みとして実務・試験において不動の地位を占める。
事件番号: 昭和52(あ)1348 / 裁判年月日: 昭和55年4月25日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑の量刑を判断するにあたっては、犯行の罪質、動機、計画性、態様、被害結果及び社会的影響の重大性などの諸要素を総合的に考慮し、その刑責が極めて重大である場合には、死刑を選択することもやむを得ない。 第1 事案の概要:被告人は約10か月の間に、共謀のうえ保険金目的で知人Bを殺害したほか、単独で知人C…
事件番号: 昭和59(あ)512 / 裁判年月日: 昭和63年4月15日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑の適用は、犯罪の罪質、動機、態様、結果の重大性、遺族の被害感情、社会的影響、犯人の年齢、前科、犯行後の情況等の諸要素を総合考慮し、その責任が極めて重大であって、罪刑均衡及び一般予防の見地からやむを得ないと認められる場合に許される。本件では、金銭目的の計画的かつ非道な犯行であること、遺体の損壊・…
事件番号: 平成6(あ)420 / 裁判年月日: 平成11年6月25日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑の選択が許容されるか否かは、犯行の性質、動機、態様、結果の重大性、遺族の被害感情、社会的影響、犯人の年齢、前科、犯行後の情状等を総合的に考慮し、その罪責が極めて重大であって、罪刑の均衡および一般予防の見地からやむを得ない場合に限られる。 第1 事案の概要:被告人は、妻の実姉を絞殺して死体を遺棄…
事件番号: 平成6(あ)1024 / 裁判年月日: 平成10年12月1日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】半年余りの間に3名の命を奪った結果は極めて重大であり、犯行態様が冷酷、残忍かつ非情であって、遺族の被害感情も極めて厳しい等の事情がある場合には、被告人に有利な事情を考慮しても死刑の科刑はやむを得ない。 第1 事案の概要:被告人は、共犯者と共に借金トラブルからBを殺害・遺棄し、その後、共犯者の父Dか…