一 死刑事件 二 分離決定をすることなく、被告人二名のうちの一名につき弁論を開き判決で上告を棄却した事例
刑訴法313条,刑訴法404条,刑訴法414条
判旨
死刑の量刑を判断するにあたっては、犯行の罪質、動機、計画性、態様、被害結果及び社会的影響の重大性などの諸要素を総合的に考慮し、その刑責が極めて重大である場合には、死刑を選択することもやむを得ない。
問題の所在(論点)
死刑という極刑を選択する際の基準、および死刑を維持した第一審・控訴審の量刑判断が刑罰の均衡や人道上の観点から適当であるか否か。
規範
死刑の適用を検討するに際しては、①犯行の罪質、②動機、③計画性、④態様(残虐性等)、⑤被害結果(殺害された人数等)、⑥社会的影響、⑦遺族の被害感情、⑧被告人の年齢・前科、⑨犯行後の情状といった諸要素を総合的に考慮し、その刑責が極めて重大であって、罪責と刑罰の均衡の観点からも、また一般予防の観点からも、死刑の選択がやむを得ないと認められる場合に限って、これを選択すべきである。
重要事実
被告人は約10か月の間に、共謀のうえ保険金目的で知人Bを殺害したほか、単独で知人Cを殺害して現金を強奪し死体を遺棄した。いずれも金銭的欲求を充足するために知人2名の生命を犠牲にしたものであり、その犯行態様は残虐なものであった。
あてはめ
本件では、被告人はわずか10か月足らずの間に2名の知人を殺害しており、その動機は利欲的で、計画性も認められる。犯行態様は残虐であり、2名の生命を奪ったという被害結果は極めて重大である。これらの事情を総合すると、被告人の刑責は重大であり、第一審の科刑(死刑)を維持した原判決の判断は、犯情の重さに照らしてやむを得ないものと認められる。
結論
本件各犯行の罪質、態様、結果の重大性等に照らせば、死刑の選択を維持した原判決の判断は正当であり、上告を棄却する。
実務上の射程
死刑量刑の判断枠組みを示したいわゆる「永山基準(最判昭58.7.8)」に先んじて、量刑考慮要素を網羅的に列挙した点に意義がある。答案上は、生命侵害の重大性や動機の悪質性を具体的事実に即して検討し、極刑選択の許容性を論じる際の指針となる。
事件番号: 昭和59(あ)512 / 裁判年月日: 昭和63年4月15日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑の適用は、犯罪の罪質、動機、態様、結果の重大性、遺族の被害感情、社会的影響、犯人の年齢、前科、犯行後の情況等の諸要素を総合考慮し、その責任が極めて重大であって、罪刑均衡及び一般予防の見地からやむを得ないと認められる場合に許される。本件では、金銭目的の計画的かつ非道な犯行であること、遺体の損壊・…
事件番号: 昭和56(あ)341 / 裁判年月日: 昭和59年4月27日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑の選択に際しては、犯行の罪質、動機、態様、結果の重大性、遺族の被害感情、社会的影響、犯人の年齢、前科、犯行後の情状の9項目を総合考慮し、罪責が誠に重大で、極刑がやむを得ないと認められる場合に許される。いわゆる永山基準を示し、死刑の適用基準を明確化した。 第1 事案の概要:被告人A及びBは、金銭…