不動産強制競売事件の期間入札において,最高の価額で買受けの申出をしたAの入札が無効であるのに,執行官がこれを誤って有効と判断しAを最高価買受申出人と定めたため,執行裁判所がAに対する売却不許可決定をし,これが確定した場合に,①上記期間入札において入札をしたのはAとBのみであった,②Bは,上記売却不許可決定の確定後,なお買受けを希望し,既に返還を受けた買受けの申出の保証につき執行裁判所の定める期間内に再度提供する旨を明らかにしていた,③他にBの入札を無効とすべき事情があったことはうかがわれないなど判示の事情の下においては,当初の入札までの手続を前提に再度の開札期日を開くこととした執行裁判所の判断に違法はない。
不動産強制競売事件の期間入札において,執行官が無効な入札をした者を最高価買受申出人と定めたとして売却不許可決定がされ,これが確定した場合に,当初の入札までの手続を前提に再度の開札期日を開くこととした執行裁判所の判断に違法がないとされた事例
民事執行法64条,民事執行法69条,民事執行法71条7号,民事執行規則46条
判旨
最高価買受申出人の入札が無効として売却不許可決定が確定した場合、当初の入札手続を前提に再度の開札期日を定めて手続を続行することは、手続の公正・迅速な実現に資し合理的である。この判断は、新たに売却実施処分をすればより高額な申出がなされる可能性があったとしても、違法とはならない。
問題の所在(論点)
最高価買受申出人の入札が無効とされ売却不許可となった後、新たな売却実施処分を行わず、当初の入札を前提に再度の開札期日を指定して次順位の入札者を選別する手続の適法性(民事執行法71条7号の該否)。
規範
入札手続における瑕疵(無効な入札の受理等)があった場合、当該瑕疵によって売却手続全体が瑕疵を帯びるものではない。したがって、瑕疵ある入札を排除すれば当初の入札手続を前提に売却を続行することに支障がないときは、公正かつ迅速な手続による売却の実現という観点から、再度の開札期日を定めて手続を続行する手法は合理的であり、適法である。この際、再入札による高額売却の可能性のみをもって当該続行の合理性は否定されない。
事件番号: 平成15(許)23 / 裁判年月日: 平成15年11月11日 / 結論: 棄却
1 不動産競売の入札の手続において,入札書の入札価額欄の記載に不備があり,同欄の記載内容からみて,入札価額が一義的に明確であると認められないときは,その入札書による入札は無効である。 2 不動産競売の入札の手続において,位ごとに区切られた入札価額欄の枠内に各位の数字を記載するものとされた入札書が用いられ,その千万から十…
重要事実
強制競売事件において、Bが22.1億円、外国法人Cが50.1億円で入札し、執行官はCを最高価買受申出人と定めた。しかし、Cは代表者資格証明書を提出しておらず、入札は無効であるとして売却不許可決定が確定した。執行裁判所は、Bが買受けの意向を維持し保証金を再度提供したため、新たな入札は行わず、当初の入札手続を前提とした「再度の開札期日」を指定し、Bを最高価買受申出人とする売却許可決定を出した。債務者は、再入札を行えばより高額で売却できたはずだと主張して執行抗告した。
あてはめ
本件では、Cの入札に代表者資格証明書の欠如という無効事由(本件瑕疵)があったが、この瑕疵によって入札手続全体が無効になる理由はない。瑕疵がなければ当初からBが最高価買受申出人と定められるべき状況にあり、Bも買受けの意思を維持して保証金を提供している。このような状況下で、一から売却をやり直さず当初の入札を維持して再度の開札を行うことは、執行手続の迅速性に資する。債務者は高額売却の機会喪失を主張するが、手続の合理性は、再入札による価格上昇の可能性のみによって左右されるものではない。
結論
執行裁判所が再度の開札期日を開いてBを最高価買受申出人とした判断に違法はなく、売却許可決定は適法である。
実務上の射程
最高価買受申出人が欠格事由等により脱落した際、残りの有効な入札者を生かして手続を続行できる「再度の開札期日」の活用の合憲性・合理性を認めた射程の広い判例。債務者の価格的利益よりも、手続の安定と迅速を優先する実務運用を是認する際に引用する。
事件番号: 令和2(ク)275 / 裁判年月日: 令和2年9月2日 / 結論: 破棄自判
担保不動産競売の手続において,最高価買受申出人が受けた売却許可決定に対し,他の買受申出人は,特段の事情のない限り,民事執行法188条において準用する同法71条4号イに掲げる売却不許可事由を主張して執行抗告をすることはできない。
事件番号: 平成22(許)2 / 裁判年月日: 平成22年8月25日 / 結論: 棄却
1 担保不動産競売事件の期間入札において,執行官が,最高の価額で買受けの申出をした入札人の入札を誤って無効と判断し,他の者を最高価買受申出人と定めて開札期日を終了した場合には,執行裁判所は,誤って最高価買受申出人と定められた者に対する売却を不許可とした上で,当初の入札までの手続を前提に改めて開札期日及び売却決定期日を定…
事件番号: 平成12(許)52 / 裁判年月日: 平成13年4月13日 / 結論: 棄却
抵当権に基づく不動産競売においては,抵当権の不存在又は消滅を売却許可決定に対する執行抗告の理由とすることはできない。
事件番号: 昭和25(ク)121 / 裁判年月日: 昭和25年12月16日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所が抗告に関して裁判権を有するのは、民事事件においては憲法違反の判断を不当とする特別抗告(民訴法旧419条の2、現336条)に限定され、再抗告の規定(同旧413条、現330条)は適用されない。 第1 事案の概要:抗告人が、下級審の決定に対して最高裁判所へ抗告を申し立てた事案。抗告人は、旧民…