免責許可の決定が確定した債務者に対し確定した破産債権を有する債権者が,当該破産債権が破産法253条1項各号に掲げる請求権に該当することを理由として,当該破産債権が記載された破産債権者表について執行文付与の訴えを提起することは許されない。
免責許可の決定の効力が及ばない破産債権であることを理由として当該破産債権が記載された破産債権者表につき執行文付与の訴えを提起することの許否
民事執行法26条,民事執行法27条1項,民事執行法27条2項,民事執行法33条1項,破産法221条,破産法253条1項,破産法253条3項
判旨
免責許可の決定が確定した債務者に対する破産債権が非免責債権(破産法253条1項各号)に該当するか否かは、民事執行法33条1項の執行文付与の訴えの審理対象とはならない。
問題の所在(論点)
免責許可の決定が確定した後に、破産債権者が、当該債権が非免責債権に該当することを理由として、破産債権者表につき民事執行法33条1項に基づく執行文付与の訴えを提起することができるか。
規範
民事執行法33条1項は、執行文付与の訴えの審理対象を、条件成就(債権者の証明すべき事実の到来)または承継(当事者以外の者に対する執行の可否)の有無に限定している。したがって、債務名義に表示された債権自体が非免責債権に該当するかという実体的な性質の判断は、同条1項の審理の対象に含まれないと解するのが相当である。
重要事実
上告人は、被上告人に対し確定した破産債権を有していたが、被上告人について免責許可の決定が確定した。上告人は、当該破産債権が破産法253条1項2号の非免責債権(悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権等)に該当すると主張し、破産債権者表について執行文付与の訴えを提起した。
あてはめ
執行文付与の訴えの対象は条文上限定されている。本件で問題となっている「非免責債権への該当性」は、条件成就や承継といった事情には当たらない。また、裁判所書記官は、破産債権者表の記載内容等から非免責債権に該当すると認められる場合には、民事執行法26条の規定により執行文を付与することが可能である。そのため、債権者に対して執行文付与の訴えを認める実務上の必要性も乏しい。ゆえに、実体法上の性質を争う本件訴えは不適法である。
結論
免責許可決定後の非免責債権該当性を理由とする執行文付与の訴えは、民事執行法33条1項の審理対象を欠き、許されない。
実務上の射程
破産債権者表の執行力に関する重要判例である。答案上は、民事執行法33条1項の審理対象が限定的であることの根拠として引用する。非免責債権であることを理由に執行を望む債権者は、まず裁判所書記官に執行文付与を申し立てるべきであり、拒絶された場合には執行文付与に対する異議の申立て(民執法32条)等によるべきことを示唆している。
事件番号: 昭和55(オ)51 / 裁判年月日: 昭和55年5月1日 / 結論: 棄却
執行文付与に対する異議の訴においてその請求の原因として請求に関する異議の事由を主張することは許されない。
事件番号: 昭和40(オ)900 / 裁判年月日: 昭和43年2月20日 / 結論: その他
民訴法第五四五条の請求に関する異議の訴と同法第五四六条の執行文付与に対する異議の訴とは、目的を異にする別個の訴と解すべきである。
事件番号: 昭和26(ク)8 / 裁判年月日: 昭和26年5月21日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所が民事事件の抗告について裁判権を有するのは、原決定の憲法適合性に関する判断の不当を理由とする場合に限られ、それ以外の理由による抗告は不適法として却下される。 第1 事案の概要:抗告人等が、下級裁判所の決定に対して最高裁判所に抗告を申し立てた事案。本件の抗告理由には、原決定において法律、命…