執行文付与の訴において請求に関する異議の事由を抗弁として主張することは、許されない。
執行文付与の訴において請求に関する異議の事由を抗弁として主張することの許否
民訴法521条,民訴法545条
判旨
執行文付与の訴えにおいて、被告(債務者)が請求異議事由を単なる抗弁として主張することは、民事執行法の定める各訴訟制度の趣旨に反するため許されない。
問題の所在(論点)
執行文付与の訴えにおいて、被告である債務者が、反訴としてではなく単なる抗弁として請求異議の事由(実体法上の異議事由)を主張することが許されるか。
規範
執行文付与の訴え(民事執行法33条)における審理対象は、条件の成就又は承継の事実の存否に限定される。一方で、債務名義に係る請求権の存否や内容を争う請求異議事由については、請求異議の訴え(同法35条)という独立した手続が設けられている。したがって、執行文付与の訴えにおいて請求異議事由を単なる抗弁として主張することは、両訴訟を別個に認めた法の趣旨に反し、許されない。
重要事実
上告人(債務者)は、被上告人(債権者)が提起した執行文付与の訴えに対し、債務名義に表示された給付義務に関して、請求権を消滅させるような請求に関する異議の事由(実体法上の事由)を抗弁として主張した。
事件番号: 昭和55(オ)51 / 裁判年月日: 昭和55年5月1日 / 結論: 棄却
執行文付与に対する異議の訴においてその請求の原因として請求に関する異議の事由を主張することは許されない。
あてはめ
民事執行法上、執行文付与の訴えは条件成就や承継の証明が困難な場合にその事実の存否を確定させるためのものである。対して、請求異議の訴えは請求権の執行力排除を目的とするものであり、同時主張の原則(35条3項)等、独自の審理ルールがある。本件において被告が主張する異議事由は、本来請求異議の訴えによって主張されるべき性質のものであり、執行文付与の事由に関する存否とは次元が異なる。よって、これを抗弁として認めることは訴訟制度の混乱を招き、法が各訴訟を峻別した趣旨を没却することになる。
結論
執行文付与の訴えにおいて、債務者が請求に関する異議の事由を抗弁として主張することは許されない。
実務上の射程
民訴法・民執法の論証として重要。執行文付与の訴えの被告側は、条件成就等の不存在(付与要件の欠如)を争うことはできるが、弁済や免除といった実体法上の抗弁を提出するには、別途請求異議の訴えを提起するか、当該訴訟内で反訴を提起する必要がある点に注意を要する。
事件番号: 昭和40(オ)900 / 裁判年月日: 昭和43年2月20日 / 結論: その他
民訴法第五四五条の請求に関する異議の訴と同法第五四六条の執行文付与に対する異議の訴とは、目的を異にする別個の訴と解すべきである。
事件番号: 昭和26(ク)52 / 裁判年月日: 昭和26年5月24日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所に対する抗告は、民事訴訟法上の特別抗告(旧法419条の2)に限られ、憲法違反の判断の不当を理由とする場合に限定される。憲法違反に名を借りた実質的な法律違反の主張は、最高裁判所に対する適法な抗告理由には当たらない。 第1 事案の概要:抗告人が、最高裁判所に対して抗告を申し立てた事案。抗告人…