権利能力のない社団を債務者とする金銭債権を表示した債務名義を有する債権者が,当該社団の構成員全員に総有的に帰属する不動産に対して強制執行をしようとする場合において,上記不動産につき,当該社団のために第三者がその登記名義人とされているときは,上記債権者は,強制執行の申立書に,当該社団を債務者とする執行文の付された上記債務名義の正本のほか,上記不動産が当該社団の構成員全員の総有に属することを確認する旨の上記債権者と当該社団及び上記登記名義人との間の確定判決その他これに準ずる文書を添付して,当該社団を債務者とする強制執行の申立てをすべきであり,上記債務名義につき,上記登記名義人を債務者として上記不動産を執行対象財産とする執行文の付与を求めることはできない。 (補足意見がある。)
権利能力のない社団を債務者とする金銭債権を表示した債務名義を有する債権者が,当該社団の構成員全員に総有的に帰属し,当該社団のために第三者がその登記名義人とされている不動産に対して強制執行をしようとする場合における申立ての方法
民法33条,民訴法29条,民事執行法23条3項,民事執行法25条,民事執行法27条2項,民事執行法33条,民事執行規則21条,民事執行規則23条
判旨
権利能力のない社団に対する金銭債務名義に基づき構成員の総有不動産へ強制執行をする際、第三者が登記名義人である場合には、民事執行法23条3項を拡張解釈して当該名義人に対する執行文付与を求めることはできない。
問題の所在(論点)
権利能力のない社団に対する金銭債権を表示した債務名義に基づき、第三者が登記名義人となっている社団構成員の総有不動産に対して強制執行を行うにあたり、民事執行法23条3項を拡張解釈して、登記名義人を債務者とする執行文の付与を求めることができるか。
規範
権利能力のない社団を債務者とする金銭債権の債務名義に基づき、構成員の総有不動産に対して強制執行をしようとする場合、当該社団のために第三者が登記名義人とされているときは、債権者は当該不動産が社団の構成員全員の総有に属することを確認する確定判決その他これに準ずる文書を添付して、当該社団を債務者とする強制執行を申し立てるべきである。民事執行法23条3項は特定物引渡請求権等を予定しており、執行文付与手続において財産の帰属を審理することも予定されていないため、金銭債権につき同条を拡張解釈することは許されない。
重要事実
権利能力のない社団Aに対する金銭債務名義を有する上告人が、Aの構成員に総有的に帰属する不動産について、Aの代表者ではない第三者である被上告人が登記名義人となっていることを理由に、被上告人を債務者とする執行文(民事執行法27条2項)の付与を求めて提訴した事案である。
あてはめ
民事執行法23条3項は特定物の引渡し等を目的とする場合に限定されており、金銭債権の執行において債務者以外の名義人に拡張適用することは条文の趣旨に反する。また、執行文付与手続は形式的な要件審査を旨としており、執行対象財産の実体的な帰属(総有の成否等)を審理する場としては不適切である。したがって、不動産が債務者たる社団に帰属することを証する確定判決等を添付して直接社団を債務者とする執行を申し立てるべきであって、登記名義人を債務者とする執行文を介在させる必要はない。
結論
民事執行法23条3項の拡張解釈は認められず、登記名義人である被上告人に対する執行文の付与を求めることはできない。
実務上の射程
社団を債務者とする金銭執行において、名義人が異なる不動産を差し押さえるための具体的な手続(確認判決の添付)を示した。司法試験においては、権利能力のない社団の財産帰属(総有)と、それに対する執行方法の不一致を解決する実務上の枠組みとして位置付けられる。
事件番号: 昭和51(オ)1202 / 裁判年月日: 昭和52年11月24日 / 結論: 棄却
執行文付与の訴において請求に関する異議の事由を抗弁として主張することは、許されない。
事件番号: 昭和62(オ)1577 / 裁判年月日: 昭和63年7月1日 / 結論: 棄却
借地上の建物の賃借人は、地代の弁済について法律上の利害関係を有する。
事件番号: 昭和40(オ)900 / 裁判年月日: 昭和43年2月20日 / 結論: その他
民訴法第五四五条の請求に関する異議の訴と同法第五四六条の執行文付与に対する異議の訴とは、目的を異にする別個の訴と解すべきである。
事件番号: 昭和55(オ)51 / 裁判年月日: 昭和55年5月1日 / 結論: 棄却
執行文付与に対する異議の訴においてその請求の原因として請求に関する異議の事由を主張することは許されない。