借地上の建物の賃借人は、地代の弁済について法律上の利害関係を有する。
借地上の建物の賃借人と地代の弁済についての利害関係の有無
民法474条2項
判旨
借地上の建物賃借人は、敷地の地代を弁済して敷地賃借権の消滅を防止することに法律上の利益を有するため、民法474条(旧2項、現3項)にいう「法律上の利害関係を有する第三者」に該当する。
問題の所在(論点)
借地上の建物の賃借人が、敷地の地代の弁済について民法474条にいう「法律上の利害関係を有する第三者」に該当するか。
規範
「法律上の利害関係を有する第三者」とは、債務者の意思に反しても弁済を行うことができる者を指し、弁済をすることについて法律上の利益を有する者をいう。具体的には、債務が消滅しなければ、自己の権利を喪失し、または義務を負担するなどの不利益を被る地位にある者を指す。
重要事実
土地賃借人(建物所有者)が地代の支払を怠ったため、当該建物に居住する建物賃借人が、土地賃借権の消滅を防止するために敷地の地代を代位弁済しようとした。土地賃貸人は、建物賃借人と土地賃貸人の間には直接の契約関係がないことを理由に、建物賃借人が弁済を行う権利(法律上の利害関係)を有するか否かを争った。
事件番号: 昭和40(オ)900 / 裁判年月日: 昭和43年2月20日 / 結論: その他
民訴法第五四五条の請求に関する異議の訴と同法第五四六条の執行文付与に対する異議の訴とは、目的を異にする別個の訴と解すべきである。
あてはめ
建物賃借人と土地賃貸人との間には直接の契約関係は存在しない。しかし、土地賃借権が債務不履行等により消滅した場合、建物賃借人は土地賃貸人からの明渡請求に対し対抗できず、賃借建物から退去して土地を明け渡すべき義務を負う法律関係にある。したがって、建物賃借人は敷地の地代を弁済し、土地賃借権の消滅を防止することについて、単なる事実上の利害関係を超えた法律上の利益を有すると解される。
結論
借地上の建物の賃借人は、その敷地の地代の弁済について法律上の利害関係を有する第三者に該当し、土地賃貸人の意に反しても弁済をすることができる。
実務上の射程
本判決は、第三者弁済における「法律上の利害関係」を肯定した代表的な事例である。司法試験においては、建物賃借人の地位を保全するための手段として本法条を援用する際に重要となる。なお、現在の改正民法474条3項の下でも、同様の論理で「正当な利益を有する者」に当たると解されるため、射程は維持されている。
事件番号: 昭和55(オ)51 / 裁判年月日: 昭和55年5月1日 / 結論: 棄却
執行文付与に対する異議の訴においてその請求の原因として請求に関する異議の事由を主張することは許されない。
事件番号: 平成2(オ)295 / 裁判年月日: 平成6年5月31日 / 結論: 棄却
条件の成就によって利益を受ける当事者が故意に条件を成就させたときは、民法一三〇条の類推適用により、相手方は条件が成就していないものとみなすことができる。
事件番号: 昭和50(オ)203 / 裁判年月日: 昭和52年12月23日 / 結論: 棄却
土地所有権に基づき建物収去土地明渡を命ずる確定判決の基礎となつた事実審口頭弁論の終結後に債務者から建物の所有権を取得した者は、その終結前に経由していた所有権移転仮登記に基づく本登記を経由した場合であつても、仮登記の時にさかのぼつて被告適格を承継するものではなく、口頭弁論終結後の承継人にあたる。