土地所有権に基づき建物収去土地明渡を命ずる確定判決の基礎となつた事実審口頭弁論の終結後に債務者から建物の所有権を取得した者は、その終結前に経由していた所有権移転仮登記に基づく本登記を経由した場合であつても、仮登記の時にさかのぼつて被告適格を承継するものではなく、口頭弁論終結後の承継人にあたる。
土地所有権に基づき建物収去土地明渡を命ずる確定判決の基礎となつた口頭弁論の終結後に建物の所有権を取得した者がその終結前に経由した所有権移転仮登記に基づく本登記を経由した場合と口頭弁論終結後の承継人
民法176条,民法177条,不動産登記法7条2項,民訴法201条1項
判旨
建物収去土地明渡請求訴訟の判決確定後、口頭弁論終結前に仮登記を経由していた買主であっても、代金完済という所有権移転の特約条件を終結後に成就させた場合は、「口頭弁論終結後の承継人」に該当する。
問題の所在(論点)
建物収去土地明渡請求の口頭弁論終結前に所有権移転の仮登記を備えていた買主が、終結後に代金完済によって実体法上の所有権を取得した場合、民事訴訟法115条1項3号(旧51条)の「口頭弁論終結後の承継人」に含まれるか。
規範
建物収去土地明渡請求の被告適格は、現実に建物を所有して土地を占拠する者に帰属する。売買契約において所有権移転時期を代金完済時とする特約がある場合、買主は代金完済時に初めて被告適格を承継する。この際、口頭弁論終結前に所有権移転仮登記がなされ、終結後に本登記がなされたとしても、仮登記時に所有権移転の事実が擬制されるものではないため、承継の有無は現実に所有権を取得した時点を基準に判断すべきである。
重要事実
土地所有者である被上告人は、建物所有者Dらに対し建物収去土地明渡訴訟を提起し、昭和35年中に事実審口頭弁論が終結し勝訴が確定した。一方、上告人は終結前の昭和28年にDらから建物を買い受け、昭和33年に仮登記を経由していたが、売買契約には「代金完済時に所有権を移転する」旨の特約があった。上告人が代金を完済し現実に建物の所有権を取得したのは、終結後の昭和40年11月頃であり、昭和44年に本登記を完了した。これに対し、上告人が民事訴訟法上の「口頭弁論終結後の承継人」に該当するかが争われた。
事件番号: 昭和40(オ)900 / 裁判年月日: 昭和43年2月20日 / 結論: その他
民訴法第五四五条の請求に関する異議の訴と同法第五四六条の執行文付与に対する異議の訴とは、目的を異にする別個の訴と解すべきである。
あてはめ
建物収去土地明渡請求の義務を承継するのは、建物の所有権を取得した時である。本件において、上告人とDらの契約には代金完済を所有権移転時期とする特約があるところ、上告人が代金を完済したのは口頭弁論終結後である昭和40年であるから、この時点で初めて建物所有権、すなわち被告適格を承継したといえる。仮登記には所有権移転の時期を遡らせる実体法的効力はないため、終結前に仮登記があっても、終結後の代金完済による所有権取得という事実を覆すものではない。したがって、上告人は終結後に義務を承継した者に該当すると解される。
結論
上告人は、口頭弁論終結後に建物収去土地明渡義務を承継した「口頭弁論終結後の承継人」にあたる。
実務上の射程
既判力の拡張(民訴法115条1項3号)における「承継人」の該当性を、実体法上の権利移転時期に基づいて判断する際の重要判例である。特に所有権移転時期の特約や仮登記がある場合でも、実体的な所有権移転が終結後であれば承継人に該当するという規範は、執行文付与に対する異議の訴え等において極めて実用性が高い。
事件番号: 昭和45(オ)712 / 裁判年月日: 昭和45年12月10日 / 結論: 棄却
乙が甲から所有権移転登記を経た不動産について、甲より登記原因の無効を理由とする所有権移転登記抹消登記手続請求の訴が提起され、その予告登記がされたのち右訴の口頭弁論の終結前に乙から第三者丙に所有権移転登記がされ、ついで右訴について甲勝訴の判決が確定した場合において、甲の丙に対する右所有権移転登記の抹消登記手続請求の訴を排…
事件番号: 昭和62(オ)1577 / 裁判年月日: 昭和63年7月1日 / 結論: 棄却
借地上の建物の賃借人は、地代の弁済について法律上の利害関係を有する。