1 共同相続された委託者指図型投資信託の受益権は,相続開始と同時に当然に相続分に応じて分割されることはない。 2 共同相続された個人向け国債は,相続開始と同時に当然に相続分に応じて分割されることはない。
1 共同相続された委託者指図型投資信託の受益権は,相続開始と同時に当然に相続分に応じて分割されるか 2 共同相続された個人向け国債は,相続開始と同時に当然に相続分に応じて分割されるか
(1,2につき) 民法898条,民法899条 (1につき) 投資信託及び投資法人に関する法律6条3項 (2につき) 個人向け国債の発行等に関する省令3条
判旨
株式、投資信託受益権、および個人向け国債は、その権利の性質上、共同相続により当然に分割されることはなく、遺産分割の対象となる。
問題の所在(論点)
共同相続された株式、投資信託受益権、および個人向け国債は、相続開始と同時に当然に相続分に応じて分割されるか(準共有となり遺産分割の対象となるか)。
規範
共同相続された財産が、相続開始と同時に当然に相続分に応じて分割されるか否かは、当該権利の内容および性質に照らして判断される。金銭債権とは異なり、権利の内容に不可分な要素が含まれる場合や、法令により一定の権利単位が定められ、単位未満の行使が予定されていない場合には、当然分割は否定される。
重要事実
亡Aの共同相続人である上告人らおよび被上告人の間で、遺産である(1)株式、(2)投資信託受益権、(3)個人向け国債を、各4分の1の割合で共有(準共有)とする遺産分割審判が確定した。その後、上告人らが共有物分割を求めて提訴したが、原審は、これらの権利は金銭債権と同様に相続開始と同時に当然分割されており、審判は確認的意味しか持たないとして、共有物分割請求を不適法として却下した。
事件番号: 平成22(受)2355 / 裁判年月日: 平成25年11月29日 / 結論: その他
1 共有物について,遺産共有持分と他の共有持分とが併存する場合,共有者が遺産共有持分と他の共有持分との間の共有関係の解消を求める方法として裁判上採るべき手続は民法258条に基づく共有物分割訴訟であり,共有物分割の判決によって遺産共有持分を有していた者に分与された財産は遺産分割の対象となり,この財産の共有関係の解消につい…
あてはめ
(1)株式は、自益権のみならず共益権(議決権等)を含み、その内容・性質上、当然分割は認められない。(2)投資信託受益権は、口数を単位とするが、帳簿閲覧権等の監督的権利(不可分な権利)を含み、当然分割には馴染まない。外国投資信託も同様の余地がある。(3)個人向け国債は、法令(省令等)により最低額(1万円)およびその整数倍を権利単位として振替口座簿に記載されるものとされ、単位未満の権利行使が予定されていない。したがって、これらはいずれも当然分割されず、遺産分割審判により各4分の1の割合による準共有状態となったといえる。
結論
本件各権利は当然分割されないため、本件遺産分割審判に基づき準共有となっており、共有物分割請求は適法である。原判決を破棄し、差し戻す。
実務上の射程
遺産分割実務において、預貯金(判例変更後)と同様に、株式や投資信託、国債といった金融資産も当然分割の対象外として遺産分割手続の中で一括して解決すべき対象であることを明確にした。
事件番号: 昭和28(オ)163 / 裁判年月日: 昭和30年5月31日 / 結論: 棄却
一 相続財産の共有は、民法改正の前後を通じ、民法二四九条以下に規定する「共有」とその性質を異にするものではない。 二 遺産の分割に関しては、民法二五六条以下の規定が適用せられる。