一 共有物分割の訴えにおいては、当事者は、共有物の分割を求める旨を申し立てれば足り、分割の方法を具体的に指定することを要しない。 二 共有物を現物で分割することが不可能であるか又は現物で分割することによつて著しく価格を損するおそれがあるときには、裁判所は、共有物を競売に付しその売得金を共有者の持分の割合に応じて分割することを命ずることができる。
一 共有物分割の訴えにおいて分割の方法を具体的に指定することの要否 二 共有物を現物で分割することが不可能であるか又は現物で分割することによつて著しく価格を損するおそれがあるときと裁判の内容
民法258条,民訴法186条
判旨
共有物分割の訴えにおいて、裁判所は、現物分割が不可能または著しく価格を損するおそれがある場合には、当事者の指定した方法に拘束されず、競売による代金分割を命じることができる。
問題の所在(論点)
共有物分割の訴えにおける裁判所の分割方法に関する裁量の範囲、及び現物分割が困難な場合における競売分割(代金分割)の許容性。
規範
共有物分割の訴えは形式的形成訴訟としての性質を有するため、当事者は単に共有物の分割を求める旨を申し立てれば足り、分割の方法を具体的に指定する必要はない。また、裁判所は、共有物を現物で分割することが不可能であるか、又は現物で分割することによって著しく価格を損するおそれがあるときには、当事者が申し立てた分割の方法にかかわらず、職権により共有物を競売に付し、その売得金を共有者の持分の割合に応じて分割することを命ずることができる。
重要事実
被上告人が上告人らに対し、本件土地の分割を求めて訴えを提起した事案である。第一審判決は被上告人の申立て通りに「本件土地を競売に付する」旨のみを命じたが、原審(二審)はこれを職権で更正し、「本件土地を競売に付しその売得金を共有者の持分の割合により分割する」旨を命じた。上告人らは、土地の現物分割が可能であることや、判決の更正手続きの適法性を争って上告した。
あてはめ
本件土地については、原審が挙げた証拠関係によれば現物による分割は不可能であると認められる。この場合、裁判所は民法(当時の規定)に基づき競売分割を選択できる。原審が第一審判決の主文を職権で「売得金の持分割合による分割」を含む形に更正した点は、民事訴訟法上の更正要件の成否にかかわらず、共有物分割の性質(裁判所の広範な裁量)に照らせば結論において正当であると評価される。
結論
共有物分割において、現物分割が不可能な場合には、裁判所は当事者の主張する分割方法に拘束されず競売分割を命じることができ、本件の原判決は正当である。
実務上の射程
共有物分割の訴えが形式的形成訴訟であり、裁判所に分割方法の決定権(裁量)があることを示す基本判例である。答案上は、当事者の申立て(処分権主義)に拘束されず、裁判所が諸般の事情から最適と判断する分割方法を選択できる根拠として用いる。ただし、現在の民法258条では賠償分割等も明文化されているため、現物分割・競売分割・賠償分割の優先順位(現物分割原則)を意識した論述が求められる。
事件番号: 平成7(オ)1684 / 裁判年月日: 平成10年2月27日 / 結論: 破棄差戻
一 共有不動産の分割をする場合において、共有者の一人である甲が今後も右不動産に居住することを希望しており、また、合計六分の一の持分を有するにすぎない乙及び丙が競売による分割を求めているのに対し、甲及び他の共有者は、右不動産を競売に付することなく、自らがこれを取得するいわゆる全面的価格賠償の方法による分割を提案していると…