一 相続財産の共有は、民法改正の前後を通じ、民法二四九条以下に規定する「共有」とその性質を異にするものではない。 二 遺産の分割に関しては、民法二五六条以下の規定が適用せられる。
一 相続財産の共有の性質 二 遺産分割の方法
民法898条,民法256条,民法258条,民法906条,民法907条,旧民法1002条,家事審判法9条乙類10号,家事審判規則104条,家事審判規則107条
判旨
相続財産の共有(民法898条)は、民法249条以下に規定する通常の共有とその性質を異にするものではなく、遺産分割に際しては共有物分割に関する規定(民法256条以下)が第一次的に適用される。
問題の所在(論点)
共同相続された遺産の共有状態を解消するにあたり、通常の共有物の分割規定(民法258条等)が適用されるか。また、遺産分割の方法として競売による価格分割が許されるか。
規範
相続財産の共有は、民法249条以下の「共有」とその性質を異にするものではない。したがって、遺産の共有及び分割に関しては共有に関する民法256条以下の規定が第一次的に適用される。遺産分割は現物分割を原則とし、分割によって著しくその価格を損なうおそれがあるときは、競売を命じて価格分割を行うべきである(民法258条2項)。民法906条は、その際の方針を明らかにしたものにすぎない。
重要事実
共同相続人の間で遺産分割(共有物分割)が争われた事案において、原審は、本件遺産を分割することによって著しくその価格を損なうおそれがあるものと判断した。そのため、原審は民法258条2項を適用し、当該遺産を一括して競売に付し、その代金を分割する価格分割の方法を命じた。これに対し上告人は、遺産分割には民法258条2項の適用はない等と主張して上告した。
あてはめ
遺産共有の性質は通常の共有と同様である。本件遺産は、その性質上、現物分割を強行すれば著しく価値を損なう客観的状況にある。この場合、通常の共有物分割の理(民法258条2項)に基づき、競売による換価分割を選択することが正当化される。民法906条の遺産分割の基準は、共有物分割の規定を適用する際の方針を示すものであり、競売を命じることを妨げるものではない。
結論
相続財産の分割についても民法258条2項が適用され、分割により著しく価格を損なうおそれがあるときは、裁判所は競売を命じることができる。
実務上の射程
遺産分割の実務は家庭裁判所の審判事項(民法906条、907条、家事事件手続法)として扱われるが、本判決は遺産共有の法的性質が物権法上の共有と同一であることを示した点に意義がある。現在の実務では、遺産分割審判において換価分割を命じる際の解釈指針として機能する。
事件番号: 昭和46(オ)160 / 裁判年月日: 昭和46年6月18日 / 結論: 棄却
一、民法二五八条一項にいう「共有者ノ協議調ハサルトキ」とは、共有者の一部に共有物分割の協議に応ずる意思がないため共有者全員において協議をすることができない場合を含むものであつて、現実に協議をしたうえで不調に終わつた場合に限られるものではない。 二、不動産の共有物分割訴訟においては、共有者間に持分の譲渡があつても、その登…