死刑の量刑が維持された事例(あきる野 資産家姉弟強殺事件)
判旨
2名の殺害を当初から企図した計画的かつ残忍な強盗殺人等の事案において、被告人が犯行を立案・主導し、実行行為でも重要な役割を果たして多額の利益を得ている場合、反省の態度や前科がない等の事情を考慮しても、死刑の選択はやむを得ない。
問題の所在(論点)
2名の命を奪った強盗殺人等の事案において、計画性、犯行態様の残虐性、および被告人の主導的立場といった諸事情を考慮したとき、死刑の選択が許容されるか。
規範
死刑の選択に当たっては、犯行の性質、動機、態様(特に殺害方法の残忍性・冷酷性)、結果の重大性(殺害された被害者数等)、遺族の被害感情、社会的影響、犯人の年齢、前科、犯行後の情状等の諸要素を総合的に考慮し、その罪責が極めて重大であって、罪罰の均衡及び一般予防の観点からやむを得ない場合に認められる。
重要事実
被告人は多額の負債返済のため、資産家宅に押し入り2名を殺害して金品を強取する計画を立案。共犯者を誘い、凶器や遺棄用具を準備した上で、被害者姉弟をナイフで脅迫して金品を強取。さらに緊縛した両名の頭部にビニール袋をかぶせて密封し窒息死させた後、死体を畑地に埋めて遺棄した。被告人は首謀者として姉の殺害を実行し、共犯者の3倍以上の利得を得ていた。
あてはめ
本件は当初から2名の殺害を企図した計画性の高い犯行であり、窒息死させる殺害方法は極めて残忍である。被告人は計画の立案・勧誘を行った首謀者であり、実行時も重要な役割を担い、利得も最大である。犯行後の隠蔽工作も認められ、情状は芳しくない。無期懲役となった共犯者と比較しても責任は格段に重い。事実を認め反省し、前科がないことを考慮しても、責任は極めて重大である。
結論
被告人の刑事責任は極めて重大であり、原判決が維持した第一審判決の死刑の科刑は、やむを得ないものとして是認される。
実務上の射程
永山基準を踏襲しつつ、特に「計画性」「殺害方法の残虐性」「主導的立場(共犯者との責任の比較)」を重視して死刑の妥当性を判断する際の枠組みとして機能する。司法試験では量刑の妥当性が問われる際の具体的あてはめの指標となる。
事件番号: 平成21(あ)516 / 裁判年月日: 平成24年1月16日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】被告人の刑事責任が極めて重大であり、犯行の経緯・動機に酌量の余地がなく、態様が冷酷・残虐で結果が重大である場合、前科がないこと等の有利な事情を考慮しても、死刑の選択はやむを得ない。 第1 事案の概要:被告人は金品強奪および強姦目的で、母娘2人が居住する住宅に侵入。帰宅した母親(当時52歳)および二…
事件番号: 昭和57(あ)842 / 裁判年月日: 昭和62年12月18日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑の選択に際しては、罪質、動機、態様、結果の重大性、遺族の被害感情、社会的影響、犯人の年齢、前科、犯行後の情状の諸点(永山基準)を総合考慮し、その罪責が極めて重大で、衡平の失当が認められない場合に許容される。 第1 事案の概要:被告人は、約9か月の間に、未成年者誘拐、殺人、死体遺棄、強盗殺人、強…
事件番号: 平成13(あ)1173 / 裁判年月日: 平成18年2月24日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑制度は憲法13条、31条、36条、98条2項に違反せず、殺害の態様が冷酷かつ残忍で結果が重大な強盗殺人等の事案においては、前科がない等の事情を考慮しても死刑の選択はやむを得ない。 第1 事案の概要:被告人は、共犯者らと共に、(1)会社事務所からの金庫窃盗および古美術店経営者宅での強盗を行い、(…
事件番号: 平成14(あ)317 / 裁判年月日: 平成18年2月14日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑制度は憲法13条、31条、36条に違反せず、2名の生命を奪った計画的かつ残忍な犯行において、被告人の役割が中心的であれば、酌むべき情状を考慮しても死刑を選択することはやむを得ない。 第1 事案の概要:被告人は共謀の上、(1)知人男性を車内で絞殺して死体をコンクリートで固めて遺棄し、(2)その2…