死刑事件(女子中学生誘拐殺人等事件)
判旨
死刑の選択に際しては、罪質、動機、態様、結果の重大性、遺族の被害感情、社会的影響、犯人の年齢、前科、犯行後の情状の諸点(永山基準)を総合考慮し、その罪責が極めて重大で、衡平の失当が認められない場合に許容される。
問題の所在(論点)
死刑の選択が許容されるための判断枠組み、および本件における死刑適用の妥当性(刑法9条、刑訴法411条2号)。
規範
死刑の適用は、刑の量定の極刑として慎重に行われるべきであり、(1)罪質、(2)動機、(3)犯行態様(特に殺害方法の執拗性・残虐性)、(4)結果の重大性(特に殺害された被害者の数)、(5)遺族の被害感情、(6)社会的影響、(7)犯人の年齢、(8)前科、(9)犯行後の情状を総合的に考慮し、その罪責が誠に重大であって、罪罰の均衡、一般予防の見地からもやむを得ない場合に認められる。
重要事実
被告人は、約9か月の間に、未成年者誘拐、殺人、死体遺棄、強盗殺人、強盗傷人等の重大犯罪を累行した。第1の殺人では、知人の長女を誘拐して連れ回した挙句、足手まといになったため頸部を絞め殺害し死体を遺棄した。第2の強盗殺人では、侵入を逃げられたため被害者を失神させた上、電気コードで絞殺し金品を強取した。被告人には反省の態度も見られるが、第一審および控訴審は死刑を宣告・維持した。
あてはめ
まず、犯行態様は、誘拐後に足手まといとなった被害者を殺害し偽装工作を行う、あるいは失神した被害者を蘇生しないよう電気コードで絞殺するなど、非道かつ執拗で残虐である。次に、結果の重大性については、身勝手な動機から何の落ち度もない二人もの尊い生命を奪っており極めて深刻である。遺族の被害感情も強く、反省の情等の被告人に有利な事情を考慮しても、罪質や動機の悪質性に照らせば、その罪責は誠に重大といえる。
結論
事件番号: 昭和62(あ)192 / 裁判年月日: 平成2年12月14日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑の選択については、犯行の罪質、動機、態様、結果、遺族の被害感情、社会的影響、被告人の年齢、前科、犯行後の情状などの諸要素を総合考慮し、その刑の選択がやむを得ないと認められる場合に許される。 第1 事案の概要:被告人は、強盗殺人罪により無期懲役に処せられ、仮出獄中の身であった。被告人は、居直り強…
本件における死刑の科刑は、罪刑の均衡および一般予防の観点からやむを得ないものとして是認でき、死刑適用の判断に誤りはない。
実務上の射程
死刑選択の判断基準(いわゆる永山基準)を具体的に示した重要判例である。司法試験においては、特に「被害者数」や「殺害態様の残虐性」といった客観的事情を重視しつつ、これらを総合考慮する際の論理構成のモデルとして活用する。
事件番号: 昭和57(あ)303 / 裁判年月日: 平成2年2月1日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑の選択は、犯行の計画性、動機、態様、結果の重大性、遺族の被害感情、社会的影響、及び被告人の役割等を総合的に考慮し、その刑責が極めて重大であって罪刑の均衡や一般予防の観点からやむを得ない場合に認められる。 第1 事案の概要:被告人は、共犯者Aと共謀の上、約1か月の短期間に、何ら落ち度のない女性2…
事件番号: 昭和42(あ)2262 / 裁判年月日: 昭和43年5月2日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑判決が正当化されるためには、犯行の残忍性、被害者の落ち度の有無、遺族の処罰感情といった諸般の事情を慎重に考慮し、被告人の刑事責任が極めて重いと認められることが必要である。 第1 事案の概要:被告人は、自身の欲望を充足させるために、何ら落ち度のない夫婦2名を殺害し、金品を奪う強盗殺人事件を起こし…
事件番号: 昭和58(あ)140 / 裁判年月日: 平成元年6月13日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑の選択に際しては、犯行の態様、動機、結果の重大性、遺族の被害感情等の罪質及び情状を総合的に考慮し、その罪責がまことに重大であって、死刑の科刑がやむをえないと認められる場合に許容される。 第1 事案の概要:被告人は、機会を異にして、手向かう術のない婦女2名を殺害した。各犯行は冷酷無情かつ残忍な態…
事件番号: 昭和46(あ)88 / 裁判年月日: 昭和48年3月2日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑の選択については、犯行の罪質、動機、態様、特に殺傷の手段方法の残虐性、結果の重大性、社会的影響、被告人の経歴、犯行後の情状等の諸般の事情を慎重に考慮し、その責任が極めて重いと認められる場合には、やむを得ないものとして許容される。 第1 事案の概要:被告人は遊興費を入手する目的で、2回にわたり周…