死刑事件(鳩ケ谷市のマダム強盗殺人事件)
判旨
死刑の選択に際しては、犯行の態様、動機、結果の重大性、遺族の被害感情等の罪質及び情状を総合的に考慮し、その罪責がまことに重大であって、死刑の科刑がやむをえないと認められる場合に許容される。
問題の所在(論点)
刑法199条等の罪に対し、死刑を選択することが許される判断基準、及び本件のように殺害が非計画的であったり、発覚の経緯に酌量すべき点がある場合でも死刑が維持されるか。
規範
死刑の適用は、犯行の態様(冷酷、残忍性)、動機の悪質さ、殺害された被害者数、結果の重大性(殺害の数や遺族の打撃)、社会的影響、被告人の年齢・前科、犯行後の情状等を総合的に考慮し、その罪責が極めて重大であって、罪罰の均衡及び一般予防の見地からやむをえないと認められる場合に限って認められる(いわゆる永山基準の枠組みを維持)。
重要事実
被告人は、機会を異にして、手向かう術のない婦女2名を殺害した。各犯行は冷酷無情かつ残忍な態様で行われ、動機に酌むべき点はなかった。被害遺族の受けた精神的打撃も深刻であった。一方で、殺害行為自体は必ずしも計画的とはいえず、また第1事件が発覚するに至った経緯(自首に近い事情等)において被告人に有利な事情も存在した。
あてはめ
本件では、犯行態様の冷酷・残忍性や、2名の生命を奪ったという結果の重大性、動機の身勝手さといった不利な事情(罪質・情状)が顕著である。これに対し、計画性の欠如や事件発覚の経緯という被告人に有利な事情を考慮しても、なおその罪責は「まことに重大」といえる。したがって、有利な情状を相殺しても余りあるほど刑事責任が重いと評価される。
結論
本件の罪責は極めて重大であり、第一審の死刑判決を維持した原判決に誤りはなく、死刑の科刑はやむをえないものとして是認される。
事件番号: 昭和57(あ)842 / 裁判年月日: 昭和62年12月18日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑の選択に際しては、罪質、動機、態様、結果の重大性、遺族の被害感情、社会的影響、犯人の年齢、前科、犯行後の情状の諸点(永山基準)を総合考慮し、その罪責が極めて重大で、衡平の失当が認められない場合に許容される。 第1 事案の概要:被告人は、約9か月の間に、未成年者誘拐、殺人、死体遺棄、強盗殺人、強…
実務上の射程
死刑選択の可否が争われる事案において、犯行の計画性が低い場合や自首等の有利な事情がある場合でも、犯行態様の残虐性や結果の重大性がそれらを大きく上回る場合には、死刑が正当化され得ることを示す実務上の指針となる。
事件番号: 平成4(あ)168 / 裁判年月日: 平成9年4月28日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑の量刑判断において、犯行の罪質、動機、態様、結果、遺族の被害感情、社会的影響、および被告人の前科等を総合的に考慮し、酌むべき事情を十分に考慮しても罪責が誠に重大である場合には、死刑の選択が是認される。 第1 事案の概要:被告人は、常習累犯窃盗罪により懲役3年6月に処せられ、仮出獄中の身であった…
事件番号: 昭和40(あ)2101 / 裁判年月日: 昭和41年5月31日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑の量刑判断において、犯行の残虐性、社会的影響、被告人の反社会的性格等を総合的に考慮し、諸般の有利な事情を斟酌しても死刑がやむを得ないと認められる場合には、その量刑は正当として維持される。 第1 事案の概要:被告人は、知人宅で借金を断られたことに憤慨し、現金を強奪。これを取り返そうとした女性に暴…
事件番号: 昭和63(あ)68 / 裁判年月日: 平成5年9月9日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑制度は憲法13条、36条に違反せず、犯行の罪質、動機、態様、結果等の諸事情に照らして罪責が誠に重大である場合には、死刑の選択はやむを得ないものとして是認される。 第1 事案の概要:被告人は、離婚届を出して身を隠した妻の所在を隠匿したとして、妻の兄らに対して恨みを抱いた。被告人は恨みを晴らすとと…