死刑事件(徳島・愛知連続強盗殺人事件)
判旨
死刑の量刑判断において、犯行の罪質、動機、態様、結果、遺族の被害感情、社会的影響、および被告人の前科等を総合的に考慮し、酌むべき事情を十分に考慮しても罪責が誠に重大である場合には、死刑の選択が是認される。
問題の所在(論点)
強盗殺人・強盗強姦等の極めて重大な犯罪において、死刑を選択することが刑法11条および刑訴法411条等の観点から不当でないか。また、死刑制度は憲法13条、36条に違反しないか。
規範
死刑の科刑が許容されるか否かの判断においては、①犯行の罪質、②動機、③態様、④結果、⑤遺族らの被害感情の深刻さ、⑥社会に与えた影響、⑦被告人の前科(仮出獄中の再犯等)、⑧被告人の反省等の情状を総合的に考慮し、その罪責が誠に重大であって、極刑の選択がやむを得ないと認められる必要がある(永山基準の枠組みを維持)。
重要事実
被告人は、常習累犯窃盗罪により懲役3年6月に処せられ、仮出獄中の身であった。被告人は留守宅に侵入して金品を物色中、帰宅した主婦に襲いかかり、付近にあったコード等で頸部を絞めつけて殺害した。さらに現金を強奪し、その際、強姦にも及んだ(住居侵入、強盗殺人、強盗強姦)。被告人側は死刑制度の違憲性および量刑不当を主張した。
あてはめ
本件各犯行は、窃盗の機会に乗じて帰宅した被害者を殺害し、さらに強姦・強奪に及ぶという極めて凄惨な態様である(①③)。強盗殺人と強盗強姦を重ねた罪質は極めて重く(①)、遺族の被害感情も深刻である(⑤)。また、仮出獄中の犯行であることは強い非難に値する(⑦)。被告人が反省しているという有利な事情(⑧)を考慮しても、これら悪情状の重大性は相殺されず、罪責は誠に重大といえる。
結論
事件番号: 昭和63(あ)68 / 裁判年月日: 平成5年9月9日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑制度は憲法13条、36条に違反せず、犯行の罪質、動機、態様、結果等の諸事情に照らして罪責が誠に重大である場合には、死刑の選択はやむを得ないものとして是認される。 第1 事案の概要:被告人は、離婚届を出して身を隠した妻の所在を隠匿したとして、妻の兄らに対して恨みを抱いた。被告人は恨みを晴らすとと…
死刑制度は憲法に違反せず、本件の犯行態様や前科等の諸事情に照らせば、死刑を科した第一審・控訴審の判断は正当であり、是認せざるを得ない。
実務上の射程
本判決は、複数の生命侵害に至らない事案(本件は主婦1名に対する強盗殺人・強盗強姦)であっても、強盗強姦等の他罪の併合や、仮出獄中の犯行といった加重的な情状がある場合に死刑が選択されうることを示している。答案上は、永山基準の各要素を具体的事実に当てはめる際の論理展開のモデルとして活用できる。
事件番号: 平成2(あ)1110 / 裁判年月日: 平成8年12月17日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑の選択に当たっては、犯行の罪質、動機、態様、結果の重大性、遺族の被害感情、社会的影響、前科、犯行後の情状等を総合的に考慮し、その罪責が誠に重く、やむを得ない場合に認められる。自首や反省等の被告人に有利な事情を考慮しても、犯行の計画性や残虐性が著しい場合には死刑判決を是認できる。 第1 事案の概…
事件番号: 昭和58(あ)140 / 裁判年月日: 平成元年6月13日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑の選択に際しては、犯行の態様、動機、結果の重大性、遺族の被害感情等の罪質及び情状を総合的に考慮し、その罪責がまことに重大であって、死刑の科刑がやむをえないと認められる場合に許容される。 第1 事案の概要:被告人は、機会を異にして、手向かう術のない婦女2名を殺害した。各犯行は冷酷無情かつ残忍な態…
事件番号: 昭和42(あ)1375 / 裁判年月日: 昭和43年4月26日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑の選択が許されるのは、犯行の動機、態様、結果、社会的影響、被告人の態度等の諸般の情状を照らし、極刑を科すことがやむを得ないと認められる場合に限られる。 第1 事案の概要:被告人が特定の犯罪行為(詳細は判決文からは不明)を行い、第一審および控訴審において極刑(死刑)の判決を受けた。被告人側は事実…
事件番号: 昭和62(あ)192 / 裁判年月日: 平成2年12月14日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑の選択については、犯行の罪質、動機、態様、結果、遺族の被害感情、社会的影響、被告人の年齢、前科、犯行後の情状などの諸要素を総合考慮し、その刑の選択がやむを得ないと認められる場合に許される。 第1 事案の概要:被告人は、強盗殺人罪により無期懲役に処せられ、仮出獄中の身であった。被告人は、居直り強…