原判決中未決勾留日数算入部分が破棄された事例
刑法21条,刑訴法495条2項2号,刑訴法405条2号
判旨
控訴審が被告人の控訴に基づき第一審判決を破棄する場合、控訴申立後の未決勾留日数は刑訴法495条2項2号により当然に全日本刑に通算されるため、裁判所に裁量的算入の余地はない。したがって、刑法21条を適用して未決勾留日数の一部を算入する旨を判決で言い渡すことは、法令適用を誤った判例違反である。
問題の所在(論点)
被告人の控訴に基づき第一審判決を破棄する場合において、控訴申立後の未決勾留日数について、裁判所が刑法21条を適用してその一部のみを算入する旨の言渡しをすることができるか。
規範
控訴審が被告人の控訴に基づいて第一審判決を破棄する場合、控訴申立後の未決勾留日数は、刑事訴訟法495条2項2号に基づき、判決確定後の執行に際して当然に全部が本刑に通算される。この場合、控訴裁判所には日数を本刑に通算するか否かの裁量権は委ねられておらず、刑法21条に基づき、判決においてその全部または一部を本刑に算入する旨の言渡しをすべきではない。
重要事実
被告人は覚せい剤取締法違反等の罪で第一審において懲役7年6月等の判決を受けた。被告人が控訴したところ、原審(控訴審)は第一審判決の一部(訴訟費用負担部分)を破棄しつつ、被告人の控訴を棄却した。その際、原審は刑法21条を適用し、原審における未決勾留日数のうち80日のみを本刑に算入する旨を言い渡した。これに対し、被告人側が判例違反を理由に上告した。
あてはめ
本件では、控訴審が被告人の控訴に基づき第一審判決の一部を破棄している。この場合、刑事訴訟法495条2項2号の規定により、控訴申立後の未決勾留日数は法律上当然に全部が本刑に通算されるべきものである。原審が、控訴申立後の未決勾留日数の一部(80日)のみを裁量によって算入すると判示した点は、同規定の趣旨に反し、本来裁判所に認められていない裁量権を行使して刑法21条を誤用したものといえる。
事件番号: 平成25(あ)508 / 裁判年月日: 平成25年11月19日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】控訴審が被告人の控訴に基づき第1審判決を破棄する場合、控訴申立後の未決勾留日数は刑訴法495条2項2号により当然に全日本刑に通算されるため、刑法21条による算入の言渡しをすべきではない。 第1 事案の概要:被告人は覚せい剤取締法違反等の罪で起訴され、第1審で懲役3年及び罰金50万円の判決を受けた。…
結論
原判決のうち、未決勾留日数の一部を本刑に算入した部分は破棄されるべきである。法定の通算規定が適用される結果、判決において算入の言渡しをすることは要しない。
実務上の射程
刑事訴訟実務において、未決勾留日数が「法律上当然に通算される場合(刑訴法495条)」と「裁判所の裁量により算入される場合(刑法21条)」の区別を明確にする。答案上は、控訴審で第一審判決を破棄する際の未決勾留の処理において、裁量算入の要否を判断する際の根拠として用いる。
事件番号: 昭和55(あ)1702 / 裁判年月日: 昭和56年2月17日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】刑法21条に基づく未決勾留日数の算入において、現実に存在しない日数(実際に拘束されていない期間)を本刑に算入することは、同条の適用を誤った違法な判断である。 第1 事案の概要:被告人は第一審で懲役7月の判決を受け、控訴を申し立てて引き続き勾留されていたが、昭和55年6月27日に保釈許可により釈放さ…
事件番号: 昭和52(あ)1944 / 裁判年月日: 昭和53年5月2日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】被告人側が申し立てた控訴審において、第一審判決を破棄する場合の未決勾留日数は、刑訴法495条2項2号により当然に全部算入される。したがって、控訴裁判所には刑法21条に基づく裁量的算入の余地はなく、算入の言渡しをすることは法規適用を誤った違法な判決となる。 第1 事案の概要:被告人は覚せい剤取締法違…