未決誤算入の原判決を判例違反として破棄した事例(反対意見がある)
刑法21条
判旨
刑法21条に基づく未決勾留日数の算入において、現実に存在しない日数(実際に拘束されていない期間)を本刑に算入することは、同条の適用を誤った違法な判断である。
問題の所在(論点)
未決勾留日数の算入(刑法21条)において、実際に身柄拘束を受けていた期間(55日)を超えて、現実に存在しない日数(100日)を算入することは適法か。
規範
刑法21条は、未決勾留日数を本刑に算入することを定めているが、その対象は「現実の拘束期間」に限定される。したがって、客観的に存在しない日数を算入することは同条の適用を誤るものであり、許されない。
重要事実
被告人は第一審で懲役7月の判決を受け、控訴を申し立てて引き続き勾留されていたが、昭和55年6月27日に保釈許可により釈放された。その後、同年9月16日の控訴審判決まで身柄を拘束されていなかった。控訴審における実際の未決勾留日数は、控訴申立の日(5月4日)から釈放の日(6月27日)までの55日間であった。しかし、原審(控訴審)は、「当審における未決勾留日数中100日」を本刑に算入する旨を言い渡した。
あてはめ
記録によれば、被告人の原審における身柄拘束期間は55日間であることが明らかである。にもかかわらず、原審はこれを大幅に超える「100日」を算入している。これは、存在しない日数を本刑に充当するものであり、刑法21条の解釈として明らかに誤っている。過去の判例(最判昭41.1.18等)に照らしても、現実に存在しない未決勾留日数の算入は違法と解されるため、本件原判決のうち当該部分は破棄を免れない。
事件番号: 平成25(あ)507 / 裁判年月日: 平成25年11月19日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】控訴審が被告人の控訴に基づき第一審判決を破棄する場合、控訴申立後の未決勾留日数は刑訴法495条2項2号により当然に全日本刑に通算されるため、裁判所に裁量的算入の余地はない。したがって、刑法21条を適用して未決勾留日数の一部を算入する旨を判決で言い渡すことは、法令適用を誤った判例違反である。 第1 …
結論
原判決のうち未決勾留日数100日を算入した部分は違法として破棄される。現実の日数である55日を本刑に算入し、その余の上告を棄却する。
実務上の射程
量刑判断の妥当性ではなく「算入日数の客観的誤り」を突く際の根拠となる。実務上、保釈等で釈放された期間を誤って参入した場合には、本判決を引用して刑法21条違反(判例違反・法令違反)を主張できる。答案上は、未決勾留日数の本質が「現実の身体拘束の代替的評価」にあることを示す際に有用である。
事件番号: 平成25(あ)508 / 裁判年月日: 平成25年11月19日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】控訴審が被告人の控訴に基づき第1審判決を破棄する場合、控訴申立後の未決勾留日数は刑訴法495条2項2号により当然に全日本刑に通算されるため、刑法21条による算入の言渡しをすべきではない。 第1 事案の概要:被告人は覚せい剤取締法違反等の罪で起訴され、第1審で懲役3年及び罰金50万円の判決を受けた。…