他刑(懲役刑)の執行と競合する未決勾留を本刑に算入した原判決が破棄された事例(団藤裁判官の反対意見がある)
刑法21条
判旨
懲役刑の執行と未決勾留が競合する場合、刑法21条に基づき当該競合期間を本刑に算入することは許されない。
問題の所在(論点)
刑法21条に基づき未決勾留日数を本刑に算入する際、他の懲役刑の執行期間と重なっている期間を算入できるか。競合期間の算入の可否が問題となる。
規範
刑法21条に定める未決勾留日数の算入について、既に他の懲役刑の執行が開始され、未決勾留の状態と刑の執行が競合している場合には、その競合期間を本刑に算入することはできない。
重要事実
被告人は覚せい剤取締法違反で勾留され、第一審で懲役6月の判決を受けた。被告人は控訴したが、控訴審の継続中に別罪(常習賭博等)による執行猶予が取り消され、懲役刑の執行が開始された。原審(控訴審)は、控訴申立の日から判決言渡日までの90日間を未決勾留日数として算入したが、その期間には別罪の懲役刑の執行期間が含まれていた。
あてはめ
被告人の控訴申立(昭和52年4月30日)から別罪の刑の執行開始(同年7月26日)までの期間は、純粋な未決勾留期間といえる。しかし、執行開始日以降は、本件の未決勾留と別罪の懲役刑の執行とが競合している。判例の趣旨に照らせば、刑の執行と競合する期間は未決勾留日数として算入すべきではない。したがって、算入が許されるのは執行開始前日の7月25日までの87日間に限られる。
結論
懲役刑の執行と競合する未決勾留日数を算入することはできず、原判決のうち算入限度を超えた部分は破棄される。
実務上の射程
未決勾留の算入に関する実務上の限界を示す。被告人が勾留中に別件の刑の執行を受けた場合、算入できるのは執行開始前日までに制限されるため、実務上は執行開始日の特定が重要となる。
事件番号: 昭和61(あ)369 / 裁判年月日: 昭和61年10月21日 / 結論: 破棄自判
【結論(判旨の要点)】懲役刑の執行と競合する未決勾留日数を、刑法21条に基づき本刑に算入することは許されない。本刑に算入できる未決勾留日数は、先行する刑の執行開始日の前日までに限られる。 第1 事案の概要:被告人は覚せい剤使用等の罪で勾留中、第一審で懲役10月の判決を受け、控訴した。しかし、被告人は以前に別件(条例違反…
事件番号: 平成12(あ)408 / 裁判年月日: 平成12年7月13日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】他の確定判決に係る懲役刑の執行期間中になされた未決勾留は、刑の執行と重複するものであるから、刑法21条に基づき本刑に算入することはできない。 第1 事案の概要:被告人は覚せい剤取締法違反等の罪で第一審・第二審を通じて勾留されていたが、その勾留期間中の平成10年10月30日に、別件の覚せい剤取締法違…
事件番号: 昭和53(あ)2328 / 裁判年月日: 昭和54年4月19日 / 結論: その他
原判決の違法が、罰金刑の換刑処分としての労役場留置の執行と競合する未決勾留日数の一部を裁量により本刑に算入した点にのみある場合においては、原判決中、未決勾留日数算入の部分のみを破棄し、その余の部分に対する上告を棄却すべきである。