1 新株発行の無効の訴えに係る請求を認容する確定判決の効力を受ける第三者は,上記確定判決に係る訴訟について独立当事者参加の申出をすることによって,上記確定判決に対する再審の訴えの原告適格を有することになる。 2 新株発行の無効の訴えの被告とされた株式会社の訴訟活動が著しく信義に反しており,上記訴えに係る請求を認容する確定判決の効力を受ける第三者に上記確定判決の効力を及ぼすことが手続保障の観点から看過することができない場合には,上記確定判決には,民訴法338条1項3号の再審事由がある。 3 新株発行の無効の訴えに係る請求を認容する判決が確定した場合において,次の(1)〜(4)など判示の事情の下においては,上記訴えの被告とされた株式会社の訴訟活動が著しく信義に反しており,上記訴えに係る請求を認容する確定判決の効力を受ける第三者に上記確定判決の効力を及ぼすことが手続保障の観点から看過することができないものとして,上記確定判決には民訴法338条1項3号の再審事由が存在するとみる余地がある。 (1) 当該第三者は,上記訴えに係る訴訟の係属を知らず,上記訴訟の審理に関与する機会を与えられなかった。 (2) 当該第三者は,上記訴訟の係属前から,上記株式会社に対して自らが発行を受けた株式につきその発行の有効性を主張するなどしており,仮に上記訴訟の係属を知れば,上記訴訟に参加するなどして株式の発行の無効を求める請求を争うことが明らかな状況にあり,かつ,上記株式会社はそのような状況にあることを十分に認識していた。 (3) 上記株式会社は,上記訴訟において請求を全く争わず,かえって,請求原因事実の追加立証を求める受訴裁判所の訴訟指揮に対し,自ら請求原因事実を裏付ける書証を提出した。 (4) 上記株式会社は,当該第三者に対して上記訴訟の係属を知らせることが容易であったにもかかわらず,これを知らせなかった。
1 新株発行の無効の訴えに係る請求を認容する確定判決に対する再審の訴えと上記確定判決の効力を受ける第三者の原告適格 2 新株発行の無効の訴えに係る請求を認容する確定判決と民訴法338条1項3号の再審事由 3 新株発行の無効の訴えに係る請求を認容する確定判決に民訴法338条1項3号の再審事由が存在するとみる余地があるとされた事例
(1〜3につき) 会社法828条1項2号,会社法838条 (1につき) 民訴法第1編第3章 当事者,民訴法47条,民訴法338条 (2,3につき) 民訴法2条,民訴法338条1項3号
判旨
新株発行無効判決の効力を受ける第三者は、独立当事者参加の申出と併せて再審の訴えを提起すれば原告適格が認められる。また、被告会社の訴訟活動が著しく信義に反し、第三者への判決効の拡張が手続保障の観点から看過できない場合には、民訴法338条1項3号の再審事由が認められる。
問題の所在(論点)
1. 新株発行無効判決の対世効(会社法838条)を受ける第三者に再審の訴えの原告適格が認められるか。 2. 被告会社による不当な訴訟追行があった場合、民訴法338条1項3号の再審事由が認められるか。
事件番号: 平成25(ク)1158 / 裁判年月日: 平成26年7月10日 / 結論: 破棄自判
1 株式会社の解散の訴えに係る請求を認容する確定判決の効力を受ける第三者は,上記確定判決に係る訴訟について独立当事者参加の申出をすることによって,上記確定判決に対する再審の訴えの原告適格を有することになる。 2 独立当事者参加の申出は,参加人が参加を申し出た訴訟において裁判を受けるべき請求を提出しなければならず,単に当…
規範
1. 新株発行無効判決の効力を受ける第三者は、再審の訴えと共に独立当事者参加の申出をした場合には、再審開始後の合一確定の要請を通じて判決を左右し得るため、再審の訴えの原告適格を有する。 2. 会社法により被告適格を与えられた株式会社が、第三者の利益に配慮せず著しく信義に反する訴訟活動を行い、当該第三者に判決の効力を及ぼすことが手続保障の観点から看過できない場合には、民訴法338条1項3号にいう「代理権の欠缺」と同様の再審事由があるものと解する。
重要事実
抗告人は株式会社Y1の新株予約権を行使して株主となったが、解任された元代表取締役であった。Y1の株主Y2が、Y1を被告として本件株式発行の無効を求める訴え(前訴)を提起した。前訴において、Y1は抗告人が発行の有効性を主張していることを認識しながら、請求原因事実を全て認めた上で、さらに請求を裏付ける資料を自ら提出するなどしてあえて争わなかった。また、抗告人に前訴の係属を知らせることも容易であったのにこれをせず、抗告人が関与しないまま無効判決が確定した。抗告人はこれに対し、独立当事者参加の申出と共に再審の訴えを提起した。
あてはめ
1. 抗告人は本件再審の訴えと同時に独立当事者参加の申出をしており、再審開始後に自ら訴訟行為を行うことで確定判決の判断を左右し得る地位にあるため、原告適格が認められる。 2. Y1は、抗告人が株式発行の有効性を争うことが明らかな状況を認識しながら、前訴においてY2の請求を全く争わず、かえって立証を補充するなど協力的な訴訟活動を行った。また、容易に通知できたにもかかわらず抗告人に知らせず、争う機会を奪った。このようなY1の訴訟活動は、被告適格を与えられた者として著しく信義に反し、抗告人に対する手続保障を著しく害するものである。
結論
抗告人には再審の訴えの原告適格が認められ、かつ、前訴判決には民訴法338条1項3号の再審事由が存在する余地があるため、原決定を破棄し原審に差し戻す。
実務上の射程
対世効のある会社関係訴訟において、被告会社と原告が通謀的に訴訟を追行し、実質的な利害関係人を排除した場合の救済法理として重要である。338条1項3号の「代理権の欠缺」を拡張的に解釈する構成は、手続保障を欠く第三者の救済手段として答案でも活用できる。
事件番号: 平成18(許)39 / 裁判年月日: 平成19年3月20日 / 結論: 破棄差戻
1 受送達者あての訴訟関係書類の交付を受けた民訴法106条1項所定の同居者等と受送達者との間に,その訴訟に関して事実上の利害関係の対立があるにすぎない場合には,当該同居者等に対して上記書類を交付することによって,受送達者に対する補充送達の効力が生ずる。 2 受送達者あての訴訟関係書類の交付を受けた民訴法106条1項所定…
事件番号: 昭和28(ク)262 / 裁判年月日: 昭和28年11月20日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所が抗告に関して裁判権を有するのは、訴訟法が特別に認めた場合に限られ、民事事件においては、原決定の憲法適合性に関する判断の不当を理由とするもの(特別抗告)に限定される。 第1 事案の概要:抗告人が、原決定に対して最高裁判所への抗告を申し立てた事案。抗告人が主張した抗告理由は、原決定における…
事件番号: 昭和44(オ)793 / 裁判年月日: 昭和45年10月9日 / 結論: 棄却
確定判決の証拠となつた証言について偽証罪の起訴猶予処分があつたため、民訴法四二〇条一項七号に基づいて再審の訴が提起された場合においては、再審裁判所は、右起訴猶予処分の当否を問うことなく、同条二項の要件を具備したものとしてさらに再審事由の有無について判断すべきであるが、再審事由の有無自体については右処分の判断に拘束されな…
事件番号: 昭和22(つ)9 / 裁判年月日: 昭和23年2月17日 / 結論: 棄却
最高裁判所が「上告」と「訴訟法において特に定める抗告」とについて裁判權を有することは裁判所法第七條の明定するところであつて右にいわゆる「訴訟法において特に定める抗告」というのは、刑事々件については刑訴應急措置法第一八條に定める抗告のように、特に最高裁判所に申立てることを許された抗告をいい、たとえ高等裁判所のした決定又は…