1 受送達者あての訴訟関係書類の交付を受けた民訴法106条1項所定の同居者等と受送達者との間に,その訴訟に関して事実上の利害関係の対立があるにすぎない場合には,当該同居者等に対して上記書類を交付することによって,受送達者に対する補充送達の効力が生ずる。 2 受送達者あての訴訟関係書類の交付を受けた民訴法106条1項所定の同居者等と受送達者との間に,その訴訟に関して事実上の利害関係の対立があるため,同居者等から受送達者に対して上記書類が速やかに交付されることを期待することができない場合において,当該同居者等から受送達者に対して上記書類が実際に交付されず,そのため,受送達者が訴訟が提起されていることを知らないまま判決がされたときには,民訴法338条1項3号の再審事由がある。
1 受送達者あての訴訟関係書類の交付を受けた同居者等と受送達者との間にその訴訟に関して事実上の利害関係の対立がある場合における上記書類の補充送達の効力 2 受送達者あての訴訟関係書類の交付を受けた同居者等がその訴訟に関して事実上の利害関係の対立がある受送達者に対して上記書類を交付しなかったため受送達者が訴訟が提起されていることを知らないまま判決がされた場合と民訴法338条1項3号の再審事由
(1,2につき)民訴法106条1項 (2につき)民訴法338条1項3号
判旨
補充送達が形式的に有効であっても、受送達者と書類受領者の間に事実上の利害関係の対立があり、書類が実際に交付されず訴訟の存在を知らないまま判決がなされた場合、民訴法338条1項3号の再審事由が認められる。
問題の所在(論点)
書類受領者である同居人と受送達者との間に事実上の利害関係の対立がある場合において、訴状等が現実に交付されなかったことが、民訴法338条1項3号の「代理権の欠陥」に準ずる再審事由となるか。
規範
1. 民訴法106条1項の補充送達は、同居者等が相手方当事者そのもの(民法108条参照)でない限り、事実上の利害関係の対立があっても形式的には有効に成立する。 2. もっとも、同居者等と受送達者との間に事実上の利害関係の対立があるため書類の速やかな交付を期待できず、実際に交付もされなかったときは、受送達者は手続関与の機会を与えられたとはいえない。この場合、当事者の代理人が代理権を欠いた場合と同様に解し、民訴法338条1項3号の再審事由を認めるべきである。
重要事実
主債務者Aが、同居する親族である抗告人の印章を冒用して勝手に連帯保証契約を締結した。債権者はAと抗告人に対し貸金請求訴訟(前訴)を提起し、抗告人宛の訴状等は、同居人Aに補充送達された。Aはこれを通告せず隠匿したため、抗告人は訴訟を知らぬまま自白擬制により敗訴判決を受けた。抗告人はその後事実を知り、民訴法338条1項3号の再審を申し立てた。
あてはめ
1. 本件では、Aが抗告人の氏名・印章を冒用して契約を締結したことが紛争の原因であり、抗告人とAとの間には事実上の利害関係の対立が認められる。 2. このような状況下では、Aから抗告人へ訴訟書類が速やかに交付されることを期待できない。実際にAが交付をせず、抗告人が訴訟提起を知らないまま判決がなされたのであれば、手続関与の機会が保障されたとはいえない。 3. したがって、補充送達が形式的に有効であるとしても、実質的には代理権を欠く場合と同視できる重大な手続的瑕疵があるといえる。
結論
抗告人の主張する事実が認められるならば、民訴法338条1項3号の再審事由が認められる。本件訴状等の補充送達が有効であることのみをもって再審請求を排斥した原決定は、法令の違反があるため破棄・差し戻されるべきである。
実務上の射程
補充送達の効力(106条)と、再審事由の存否(338条1項3号)を切り分けて論じる必要がある。特に冒用訴訟のようなケースにおいて、送達の有効性を認めた上で、実質的な手続保障の観点から「代理権の欠陥」を類推適用するロジックとして答案に活用できる。
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