最高裁判所のなした終局裁判の性質を有する決定および命令に対しては、民訴第四二九条により、再審の申立をすることができる。
最高裁判所の決定、命令に対する再審申立の適否
民訴法429条
判旨
民事訴訟法349条(旧429条)に規定される再審の申立ての対象は、文言上は即時抗告ができる決定・命令に限られるが、広く一定の事項を終局的に確定する目的でなされる終局的裁判であれば、即時抗告ができないものや最高裁判所による決定等であっても対象に含まれる。
問題の所在(論点)
民事訴訟法349条(旧429条)は「即時抗告をすることができる決定又は命令」が確定した場合に再審の申立てを認めている。本件のように、最高裁判所による抗告却下決定(即時抗告が不可能な終局的裁判)に対しても、同条を適用または準用して再審の申立てをすることが認められるか。
規範
再審制度の趣旨は、終局的に確定した裁判に重大な瑕疵がある場合の救済にある。民事訴訟法349条の「即時抗告をすることができる決定又は命令」という文言は、終局的裁判の多くが即時抗告に服することに着目した例示的な表示にすぎない。したがって、一定の事項を終局的に確定する目的でなされる裁判であれば、当初から不服申立てが許されない場合や、最上級審によってなされた場合であっても、独立した確定力を有する以上、同条に基づき再審の申立てを認めるべきである。
重要事実
申立人は、借地権確認請求事件の上告棄却判決に対し異議を申し立てたが却下された。さらに、その却下決定に対して最高裁判所に特別抗告を申し立てたが、同裁判所第三小法廷により不適法として却下された。申立人は、この最高裁判所による抗告却下決定に判断の遺脱があるとして、旧民訴法429条に基づき再審の申立てを行った。
事件番号: 昭和29(ヤ)3 / 裁判年月日: 昭和29年3月24日 / 結論: 却下
最高裁判所がなした上告棄却の判決に対する異議却下決定に対してなされた特別抗告につき、最高裁判所のなした却下決定に対しては再審の申立は許されない。
あてはめ
最高裁判所第三小法廷がなした抗告却下決定は、上告棄却判決に対する異議却下決定への不服を最終的に遮断するものであり、一定の事項を確定する目的でなされる「終局的裁判」としての性質を有する。このような終局的裁判は、中間的裁判とは異なり独自の確定力を有するため、瑕疵がある場合には独立した救済方法が必要となる。したがって、文言上は即時抗告が可能なものに限られているように見えるが、本件のような最高裁の決定も同条の対象に含まれると解するのが相当である。
結論
本件再審の申立ては適法である(ただし、再審事由である判断遺脱は認められないため、実体上は棄却される)。
実務上の射程
決定・命令に対する再審(349条)の対象を「即時抗告可能なもの」という形式的要件から「終局的裁判」という実質的要件へと拡張した重要判例である。答案上は、確定判決以外の裁判に対し、類推適用等の構成を介さずとも、その終局的性質を論証することで直接349条の適用を基礎付ける論理として使用できる。
事件番号: 昭和39(ク)19 / 裁判年月日: 昭和39年2月7日 / 結論: 却下
民訴法第四一九条ノ二は憲法第三二条に違背しない。
事件番号: 昭和43(し)89 / 裁判年月日: 昭和43年11月7日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】再審請求において、刑訴法435条各号に該当する事由が認められない場合には、請求を棄却した原決定は正当であり、憲法32条違反等の主張は前提を欠く。 第1 事案の概要:抗告人は、確定判決に対して再審を申し立てたが、原決定により棄却された。これに対し、抗告人は、憲法31条(適正手続き)、32条(裁判を受…
事件番号: 昭和42(ク)28 / 裁判年月日: 昭和42年3月29日 / 結論: 却下
高等裁判所が抗告審としてなした決定に対し、民訴法第四一三条による再抗告は許されない。
事件番号: 昭和28(ク)262 / 裁判年月日: 昭和28年11月20日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所が抗告に関して裁判権を有するのは、訴訟法が特別に認めた場合に限られ、民事事件においては、原決定の憲法適合性に関する判断の不当を理由とするもの(特別抗告)に限定される。 第1 事案の概要:抗告人が、原決定に対して最高裁判所への抗告を申し立てた事案。抗告人が主張した抗告理由は、原決定における…