民事再生法上の共益債権に当たる債権を有する者は,当該債権につき再生債権として届出がされただけで,本来共益債権であるものを予備的に再生債権であるとして届出をする旨の付記もされず,この届出を前提として作成された再生計画案を決議に付する旨の決定がされた場合には,当該債権が共益債権であることを主張して再生手続によらずにこれを行使することは許されない。
民事再生法上の共益債権に当たる債権につき,これが本来共益債権である旨の付記をすることもなく再生債権として届出がされ,この届出を前提として作成された再生計画案を決議に付する旨の決定がされた場合において,当該債権を再生手続によらずに行使することの許否
民事再生法85条1項,民事再生法94条1項,民事再生法95条,民事再生法121条1項,民事再生法121条2項,民事再生法154条1項,民事再生法169条,民事再生規則31条
判旨
本来共益債権である債権につき、予備的な付記なく再生債権として届出がされ、これを前提に再生計画案の決議付決定がなされた後は、当該債権を共益債権として行使することは許されない。民事再生法95条の趣旨に照らし、再生計画を確定させ手続の安定を図る必要があるからである。
問題の所在(論点)
本来共益債権である債権につき、予備的付記なく再生債権として届出がなされ、再生計画案の決議付決定がなされた後に、なお当該債権を共益債権として再生手続によらずに行使できるか。
規範
本来共益債権に当たる債権であっても、①再生債権として届出がなされ、②本来共益債権であるものを予備的に再生債権として届け出る旨の付記もされず、③当該届出を前提とした再生計画案を決議に付する旨の決定がされた場合には、当該債権が共益債権であることを主張して再生手続によらずに行使することは許されない。
重要事実
再生債務者Aは買主Bと船舶売買契約を締結し前受金を受領した。上告人はAの返還債務を保証した。Aの再生手続開始後、管財人は本件契約を解除(民再法49条1項)。Bは、解除により生じた前受金返還債権(本来は共益債権)を、予備的付記なく「再生債権」として届け出た。管財人らはこれを認め、再生債権弁済計画表に計上。その後、再生計画案の決議付決定を経て認可決定が確定した。上告人はBに代位弁済し、本件債権を共益債権として行使すべく訴えを提起した。
あてはめ
本件の前受金返還債権等は、解除により生じた債権であり本来は共益債権(民再法49条5項、破産法54条2項準用)に当たる。しかし、Bは予備的付記なくこれを再生債権として届け出ており、管財人等も異議を述べず、再生債権として扱う再生計画案が作成された。民再法95条は、決議付決定後における届出事項の変更等を制限しており、これは再生計画の早期確定と手続の安定を目的とする。この趣旨に照らせば、計画案の内容に信頼を置いた関係者の法的地位を覆すことは不適切であり、上告人が本件債権を共益債権として行使することは許されないと解される。
結論
本件債権を共益債権として主張し、再生手続によらずにその支払を求める訴えは、不適法として却下される。
実務上の射程
共益債権と再生債権の峻別に関する重要判例。債権者が共益債権性を認識しつつ再生債権として届け出た場合や、過失により付記を怠った場合も含まれる。実務上は、共益債権か再生債権か不明な場合は必ず「予備的届出」であることを明示させるべきという指針となる。
事件番号: 平成22(受)78 / 裁判年月日: 平成23年11月22日 / 結論: 破棄自判
弁済による代位により財団債権を取得した者は,同人が破産者に対して取得した求償権が破産債権にすぎない場合であっても,破産手続によらないで上記財団債権を行使することができる。 (補足意見がある。)
事件番号: 平成22(受)1405 / 裁判年月日: 平成23年7月8日 / 結論: 破棄差戻
貸金業者が貸金債権を一括して他の貸金業者に譲渡する旨の合意をした場合において,上記債権を譲渡した業者の有する資産のうち何が譲渡の対象であるかは,上記合意の内容いかんにより,それが営業譲渡の性質を有するときであっても,借主との間の金銭消費貸借取引に係る契約上の地位が上記債権を譲り受けた業者に当然に移転する,あるいは,当該…