弁済による代位により民事再生法上の共益債権を取得した者は,同人が再生債務者に対して取得した求償権が再生債権にすぎない場合であっても,再生手続によらないで上記共益債権を行使することができる。 (補足意見がある。)
求償権が再生債権である場合において共益債権である原債権を再生手続によらないで行使することの可否
民法501条,民事再生法85条1項,民事再生法121条1項,民事再生法121条2項
判旨
弁済による代位により共益債権を取得した者は、自身の再生債務者に対する求償権が再生債権にすぎない場合であっても、民事再生法177条2項の類推適用により、再生手続によらずに当該共益債権を行使できる。
問題の所在(論点)
弁済による代位により民事再生法上の共益債権(原債権)を取得した者が、再生債務者に対して取得した求償権自体は再生債権にすぎない場合、再生手続によらないで当該共益債権を行使することができるか。
規範
弁済による代位の制度は、求償権を確保するために原債権を一種の担保として機能させるものである。したがって、代位弁済者が再生債務者に対して取得した求償権が再生債権である場合であっても、民事再生法177条2項の類推適用により、共益債権である原債権を行使する限度では再生計画による権利変更の効力は及ばず、再生手続外での行使が認められる。
重要事実
再生債務者Aは、Bとの請負契約に基づき前渡金を受領していたが、再生手続開始後に管財人(上告人)が同契約を解除した。当該前渡金の返還義務を保証していた保証人(被上告人)は、Bに対し代位弁済を行った。被上告人が取得した求償権は再生債権であるが、弁済による代位によって取得した「前渡金返還請求権」は民事再生法119条1号(または49条4項)の共益債権に該当する。被上告人は、この共益債権を再生手続によらずに行使できるかを巡って争った。
あてはめ
弁済による代位の趣旨は、求償権確保のために原債権を移転させ、担保的に機能させる点にある。本件において、被上告人が取得した前渡金返還請求権は、解除によって生じた共益債権としての性質を有している。他の再生債権者は、もともと原債権者(B)による共益債権の行使を甘受すべき立場にあり、被上告人の代位行使を認めても不当な不利益はない。また、再生計画による求償権の減額等の変更は、担保権と同様の機能を持つ原債権の行使には影響しない(177条2項類推)。したがって、被上告人は求償権の範囲内で、共益債権を再生手続外で行使できる。
結論
代位弁済者は、自身の求償権が再生債権であっても、弁済による代位により取得した共益債権を再生手続によらずに行使できる。
実務上の射程
再生手続における共益債権の優先的地位と、弁済による代位の担保的機能が衝突する場面での標準的な判断枠組みである。答案上は、求償権(随伴性)と原債権(担保的機能)の峻別を意識し、177条2項を根拠に再生計画による修正を遮断する論法として活用すべきである。
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